「Re:【第30章】」
ちょっと話それるけど・


ここ数年前からだろうか・
運動会シーズンになると各地の幼稚園やら小学校、はたまたワイドショーなんかでもよく見られる“異様な”光景・

それはカメラを向けたお父さん方の大量の列！

ビデオカメラ、

デジタルカメラ、

携帯カメラ・・

カメラ

カメラ

カメラ

カメラ

とにかく最前線を筆頭に会場中カメラだらけ！！

『生中継しとんのかい！』とツッコミたくなるほどのカメラの数である・


そんなお父さん方はきっと
『まだ幼い息子が年に一度の大舞台で一生懸命頑張っている姿を10年後、20年後の未来に残しておきたい。』
そう考えているのだろう・

いや、
それはそれで素晴らしいことだと思うし、そうしたいという気持ちはよくわかる・

俺だってやっぱり自分の子供が頑張って走る姿はカメラに収めて残したいと思うだろう・



でもさぁ　・・・


なんか違くないか　？



たしかに貴重な一瞬だよ・

たしかにその年のその運動会は二度とこないかもしれないよ・



だからこそ！

だからこそ、てめーの肉眼で見ろよ！！

レンズ越しでじゃなく、てめーの肉眼で見てやれよ！！！

その光景、その勇姿を、

フィルムに焼き付けるんじゃなく、

てめーの胸に深く焼き付けてみせろよ！！！



いかに綺麗に撮れるか

競技中、己のカメラワークにのみ集中する父親が
リアルタイムで頑張る子供の姿をレンズ越しに見たところで、
一体その子供の何を感じ取ってやれるというのだろうか？

ビジュアルだけを物体として形に残したところで、

その時の興奮、喜び、不安、緊張感、熱い気持ちは残せない・

ならば、無機質な機械なんか手放して

父親として出来る限りの励まし、応援、祝福をしてあげようじゃないか・

その日その時その瞬間でしか味わえない感情を

親子で一緒に共有してやろうじゃないか・


そういうひと時の絆が、子供にとっては自分の姿を機械に残してくれることなんかよりも、ずっと大切で貴重なものなんだと思う・




〜有意義な時間。レンズに収めて形として残せば残すほど、その時の思い出は残らないものである〜