私はビールを楽しみながら彼にこう言いました。「キナバルはいいところだろう！景色といい自然といい本当に素晴らしい処ですよ。私の大好きな場所の一つです。今日色々とあなたに説明したり話をしたが、どのくらいあなたに解って貰えたか疑問だと思っています。それにもっと蘭についての関わりも話したかった。しかし、伝え切れないだろうな！」すると、彼が言いました。「そうです。私もそう思います。なぜなら、あなたは、あなたにしか見えない夢を持っているんです。それは私には見えません！たぶん素晴らしいものですよね。今日はあなたからそんな夢の一端に接して、自分も自分にしか見えない夢を持ちたいと真剣に思いました。本当に素晴らしい一日でした。ボルネオに来て本当に良かった！有難うございます！」
私は彼にまた答えて言いました。「いい言葉だね！『自分にしか見えない夢』か！私はそれを追い求めている。私はラ・マンチャの男？ドンキホーテか？そうだね！あなたもドンキホーテになったら連絡してね。いつかまた会いましょう！」。それから二日後に彼と別れた。
2週間後に手紙がきて、1年後にはe-mailになり、2年後には、彼は蘭に夢中になって時間を見つけてはオーキッドショー（洋蘭博覧会・展示会）に参加したり出席したりしているという。4年後には、蘭が縁で同じ愛好家の英国人のE嬢と結婚。いつか一緒にボルネオ蘭の旅をしたいとの連絡。
彼の仕事？フロリダでランビジネスとは関係のない事をしていますが、蘭のコレクションが彼の生活の一部になっている。最近の彼のメールには、こう書いてありました。「蘭の世界が私の求めていた自分にしか見えない夢かどうか未だ解りませんが、少なくとも私の楽しみの中心です。愛培している蘭鉢のカトレアの交配種の花を見ては心を魅了され、原種の蘭を見ては、その自生地を思い巡らしています。パフィオのフーケレー（Paph.hookerae/キナバル山自生地）の実生株が自宅で咲いた喜びが想像できますか？大きな感動です。あなたが招待してくれたあの素晴らしいキナバル山がここにいるのです。」
私には、彼がもうすでに私に負けず劣らぬラマンチャの男になっていると確信しています。自分が求め続ける夢が他の人に理解できるものなら言う事はないですが、自分にしか解らない、自分にしか見えない夢であっても素敵なことだと思いませんか！無理強いはしませんが、皆さんも如何ですか！持ちませんか？自分にしか見えない夢を！