キナバル山中腹にある公園本部内のトレイルを歩いていると、その自然豊かな原生林に感動を覚えます。ジャングルの中の谷川沿いにトレイルを歩くと大木には、大きなタニワタリ（アビス・美しいシダの仲間）や他の着生シダや着生蘭が着いています。この辺りの木に着いている蘭、つまり着生蘭の多くは、エリア属、バルボフィラム属、セロジネ属などですが、中には、「アッ！」と言うような蘭も確認できます。足元にも様々な興味深い植物が繁茂しています。
耳に重点を置きましょうか！絶えず鳥の鳴き声が聞こえてきます。他に獣の声やサルの仲間の叫び声も捉えることが出来ます。谷川のせせらぎが時々小規模な滝の音に変わったり、風が太古からのジャングルを通り抜ける気持ちの良い音も聞こえます。しかし次の瞬間、何も聞こえなくなり、静寂が、本当に恐ろしい程のと言ってもいいような静寂が漂って、この大自然の中に自分しかいないような錯覚に陥ることもあります。このようにキナバル山公園内のトレイルを少しの時間歩くだけでもキナバルの自然を満喫する事ができます。
この公園本部の位置からキナバル山の姿を見てみましょうか！すぐ目の前を見上げて見ると迫ってくるような迫力のある頂上付近の岩盤地帯が見えます。その下には太古からのジャングルが迫っています。その景観は美しさとか絶景とかの表現ではなくて、大自然が遠い昔から、気が遠くなる年月をかけて描いてきた風景画の最高傑作、美術品と言った方が的を得ているかも知れません。本当に素晴らしい眺めです。ここで、一言ガイドして置きます。キナバル山の姿を眺めるには、出来るだけ午前中が良いです。何故なら、午後には気流などの関係から霧ガスが発生して上部が隠れてしまうからです。
このキナバル山は、公園本部からは、普通の体力の方々でしたら一泊二日で頂上へ行って帰ってこられます。頂上からは素晴らしい眺めです。また、一般の旅行者の方々は、この公園本部の周辺や少し離れたキナバル山南東の位置の中腹部・マシラウリゾートでの滞在は、見逃せないと思います。
次回をお楽しみに！