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  • from: モトパシアさん

    2011年12月23日 10時33分23秒

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    プナン族の狩猟


    写真は定住型プナン族の老人です。

    プナン族は、始めにも紹介しましたが採取狩猟民族です。男達は、朝早くから狩猟に出かけます。方法は?「コラプット」と呼ばれる吹き矢を使います。この矢の先に毒が塗られていて、命中したらどんな動物でも死にます。

    この吹き矢を吹く吹き筒を作るのには、とても大変です。
    素材になる木は、「マングリース」や「ベリアン」と呼ばれる硬い材質のものです。直径は少なくとも1m以上で実際に必要なのは、木の中心部です。

    素材は、木が大きければ大きいほど、硬ければ硬いほど良いとされています。
    これを2週間もかけて中央に穴を開け、周囲を削いでいき、握り口の方が太く先端に行くほど細くなるように仕上げます。そしてヤスリがけをしますが「ウディムダン」と呼ばれる樹木の葉でします。
    この葉の裏には硬くて小さいトゲが無数に付いていてちょうど紙ヤスリの代わりになります。

    この筒に反りがある場合には、立ち木に数日間くくりつけ慎重に反りを直していきます。

    最後には、この吹き筒の先端に「パロー」と呼ばれる菱形の小刀を付けます。吹き筒は長ければ長いほど、正確で威力が増しますが、それだけ肺活量と支える腕力が要ります。だから、女性や子供は、全長1m未満を使います。

    吹き矢の先に塗る毒は、「タジャム」と呼ばれていて、ツル性植物のイポーの樹液から作られます。このイポーの幹の部分を削って細かく砕いて出て来た白い液を煮詰めて黒いタール状になると出来上がりです。

    イポーの樹液は、アンチアリンと呼ばれる成分が含まれており、心臓の働きを麻痺させる効果があります。プナン族もこの毒に対する解毒方法を知らないので、もし誤って刺してしまったら、その部分を素早く切り落とすしかないのです。だから、どこのラミンでも子供の手の届かない高い所に置いています。

    矢は、狙う獲物によって使い分けがされています。鳥やイタチなどを狙う時は、「タハッ」と呼ばれる一本の真っ直ぐな矢です。大きなものは、「ブラッ」と呼ばれる矢で、刺さった後簡単に抜けないように先端に引掛り鍵が付けられています。矢の後ろには「プノ」と呼ばれる植物が吹き筒の太さに合せて風圧受けとして付けられています。

    この矢の先端部分に意図的5ミリおきに小刀で切り込みを入れています。なぜなら、矢が命中した動物が逃げる時、矢が折れやすくするためです。毒の塗られた矢の先が獲物の身体に確実に残すためです。

    プナンの男達は、吹き矢を二、三十本、竹筒に入れて腰にぶら下げて狩に行きます。狩は大変な体力と集中力を要します。一番重要な事は、自分の姿を相手に悟られないように見つけて近づく事です。狩ができるか出来ないかの術です。

    プナン族は、獲物が出没している場所をよく知っています。この場所にさしかかると足音を立てずに辺りを窺がいながらゆっくり歩きます。狩の達人が「目で見ようと思うとだめです。風の音、木が揺れる音を聞くことが大事です。耳をすませば獲物の方から、私はここにいますよと教えてくれます。」と語りました。

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