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from: モトパシアさん
2021年03月17日 17時15分39秒
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この季節になると旅先で学んだ事を思い出します
以前に書かせて頂いた貴重で懐かしい出会いをまた述べさせて頂きます。
東南アジアで国が違っていも同じ国語を持つ国があります。そうです、マレーシアとインドネシアです。共に第二次世界大戦後、独立しましたがその以前は、マレーシアは、英国の植民地で、インドネシアはオランダの植民地として歩んだ歴史がありました。だから、マレーシアは今も生活習慣や建物など多くを英国の影響が残っています。インドネシアもやはりオランダの影響を受けています。言葉もそうです。マレーシアは英語の影響がありますし、主要な言葉として使われています。インドネシアも、もちろんオランダの影響が残っています。だから、当時は、ヨーロッパからの観光客も、米英、オーストラリア、カナダなどマレーシアへ訪れる割合が多いですし、インドネシアにはオランダから訪れる人々が多いです。
そのようなことで、インドネシアでの事、オランダ人の観光客とお会いする機会がありました。スラウェシ島の東に位置するマルク諸島のハルマヘラ島ジャイロロでのことです。インドネシアでもニューギニアに近く欧米から訪れるのは珍しい場所です。ですが、風光明媚で、どこへ行っても美しい自然と人々のもてなしに感動の連続です。その地元ツワーでオランダからの老夫婦と知り合いになりました。
ご主人は、戦争で日本軍と戦ったそうです。色々辛い戦いの話をしてくれました。私も学んできた拙い知識から、戦争での日本の悲惨な結果をお話しました。その時です、御夫人から、今日のタイトルに掲げたお話を聞き学びました。
第二次世界大戦末期の何ヶ月間、ナチの海上封鎖のため、オランダ西部の主要な都市は、食料の水上輸送は途絶えました。結果は悲惨なものでした。1944年から1945年にかけて「飢餓の冬」の期間中に1万人以上の人々が栄養失調で死にました。生き延びた人々は、チュウリップの球根を食べたそうです。とろ火でどんなに長く煮ても軟らかくならないそうです。嫌がらずに慎重に食べてものどがひりひり痛んで何日も治らない状態でした。ですから、もし手に入ればニンジンを少しとテンサイを一緒に煮たそうです。
彼女の母は、彼女や彼女の姉妹達に食事を与えるため、二回に一回は食べずに我慢したそうです。話をしているその御夫人は、とうとうこみ上げて涙ながらに私に語りを続けてくれました。私ももらい泣きの状態でした。
彼女のそんな優しい母親は終戦を待たずに死んだそうです。彼女は、「泣いてくださって、とてもうれしいわ!素敵な日本人に出会って感謝します。」と言って下さった事を今でも忘れません。
チューリップの球根は100㌘で148カロリーで、たんぱく質3㌘、脂肪0.2㌘、炭水化物32㌘です。しかし、口に合わない食べ物です。ですがそのおかげで餓死せずにすんだオランダの人々は、少なくなかったようです。
旅先での出会いで、また学びました。戦争の悲惨さ!体験した方々の願い!洋の東西を問わず平和への願い、家族を慈しむ自然の情愛!とても教えられたお話でした。
花屋や種苗店にチューリップの花や球根が並べられている季節に、それらを目にするたびにオランダの御夫人のお話が脳裏に現れてきます。
美しいチューリップ!誰もがその姿を見て微笑みを浮かべる花に、オランダの人々の命を救った歴史があるなんて、教えて下さった出会いに今も感謝しています。-
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