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親父たちよ

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  • from: クマさんさん

    2006/11/11 08:25:34

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    親父と息子

    また今週から眩暈が現れた。
    昨年何ヶ月か悩まされたものと同じ症状である。
    疲れのせいか、ストレスのせいか分からない。
    年をとると人間の体は壊れ物となるようだ。

    沢木耕太郎「無名」という小説を寝るときに読んでいる。
    無名で一生を閉じようとしている父親を病院で看病する息子の立場から、
    父親の生涯を見つめ、感じたままに綴られた私小説である。
    しみじみと心にしみた。
    東京のおじさんが病床にあったとき、
    息子たちは時間があると病院に通っていた。
    それまで、親父さんとはろくに話もしなかったし、
    説教臭いことを言われると敬遠していた息子たちが、
    「親父」と言って話しかけている。

    親父と息子。
    これも文学のテーマであると思っている。
    小説では、親父さんとの思い出をいろいと思い出している場面があった。
    初めて銀座に飲みに連れて行ってもらった夜、
    日本酒を二人で一升五合あけた話。
    酒と本をこよなく愛した親父さんは、
    何を聞いても知らないことがないくらい物知りだった話。
    穏やかな人で、怒鳴り声など聞いたことがないという話。

    そして、良かったのは、
    親父さんは戦前は会社経営者の家に生まれ、
    何不自由なく育てられてきたが、
    戦後、様々な不運の中から、仕事を転々として、
    最後は溶接の職人として現役を引退した人だった。
    だから、一家はいつも貧しく、質素な暮らししかできなかった。
    しかし、この物静かな親父さんを、
    家族の皆は守っていかねばならないと感じていたいうのである。

    作者は親父さんに怒鳴ったり、
    反発したりすることが一度もなかったと書いてある。
    息子と親父との立場の逆転。
    そこで初めて親父と息子との和解が生まれる。

    東京のおじさんは強い親父だった。
    だから、息子たちは病床の親父さんに会いにやってきた。
    やっとその逆転の時が来たからかもしれないからだ。
    親父さんを守って上げられる立場にやっとなれたからかもしれないからだ。

    無名を読みながら、私自身の親父との関係を考えた。
    実は今朝、親父と一発やりあってしまったのだ。
    それが悲しく、切なく思いこれを書いているのである。

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