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from: クマさんさん
2007/02/23 21:33:18
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老い、老い、おい。
朝は、父が起きてこなくなったので、
私がジョギングの後で、ゴミ捨てに行っている。
生ゴミや燃えるゴミをまとめて、5〜6個の袋をぶら下げていく。
これは、いつも元気だった祖父ちゃんの仕事であった。
母が起きなくなってから、朝はガス釜のスイッチを妻が押す。
実は、タイマーで炊きたいのだが、
一晩水の中に米を浸すことが嫌いな母のため、
我が家は妻が6時にスイッチを押している。
前の勤務先は豊栄だったので、
私は早朝の6時に「目覚ましテレビ」を観ながら朝食を食べていた。
母は、5時におきて朝餉の支度をしていた。
寒い寒い冬の台所からも、
まな板を叩く包丁の音が聞こえたものだった。
今は、私が茶碗にご飯をよそっている。
子供たちの分まで私がよそう。
それから、味噌汁をお椀にもって、長男が降りてくるのを待っている。
母は寝ていた。父も寝ていた。
時々、ゴミを捨てようと起きてくる父であるが、
私がすでに捨てて来たと聞くと、寂しそうに笑っている。
父は、一日炬燵に入り、見る気の無いテレビをぼんやりと眺めているらしい。
じっとしていられない人で、いつもせっせと体を動かして仕事した人だった。
長男のために15年間鯉幟を上げた人だった。
しかし、昨年我が家の庭には鯉幟はなかった。
へいがき一面に朝顔を咲かせることも趣味であった。
その朝顔も、昨年の夏は見られなかった。
父は、何かを悟ったように、何もしない日々が続いている。
とにかく怒りっぽくなったために、
私なんぞは、怒られっぱなしである。
孫たちもそんな祖父ちゃんを敬遠するようになった。
先日、私の留守中に父が二階の私の部屋に来て、
日本酒をもっていってしまったそうだ。
それに気付いた長男が、母と機転を利かせて、
その日本酒を奪取してくれた。
本醸造の八海山である。
母がこっそりと買って、私にくれた酒だった。
父と語りたいなぁと思って、炬燵に入って新聞を見ていたら、
どんどん文句を言ってくるので、
だんだん腹が立って二階に上がってしまった。
先週の「東京タワー」を観ただろうか。
いつもと変わらない、何の変哲も無い平穏な朝。
しかし、突然オカンは病魔に襲われ、苦しみだしてしまう。
もう、後戻りはできないのである・・・。
老いることは、悲哀である。
父は、きっと叫びたいほど孤独なのだろう。
平穏な夜、父は下で一人テレビに向かっている。
夜中もそのテレビはついていた。
父はテレビの光に照らされて、その光と語り合っていた。-
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