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from: クマさんさん
2008/11/24 10:12:30
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ハーモニー
親父がいなくとも子は育つ。
父に感謝していることは、父がずっと生きていてくれたことだ。
父が居ない寂しさを、私は味わうことがなかった。
親がいないとは、きっと切なくなることなのだと思っている。
しかし、親父が家庭で親父風を吹かせ、
権威と建前だけで生きている時、
どうも家族は猛反発をするらしい。
いや、反発などと表立ったやり方ではなく、
時には諦め、時には笑い、時には背を向ける。
独りで親父芝居を演じているうちに、
共演者であったはずの家族とかみ合わなくなってしまう。
そして、その親父としての弱さの本質をすっかりと見抜かれているのに、
まだその役割にしっかりとしがみつこうとする。
「お父さんは、反対だ」
「お父さんは、許さないからな」
「ピアノなんか絶対にだめだ」
「彼に対しては、兄ちゃんで失敗したから、厳しく育てる」
その方針は、ことごとく家族からは受け入れられない。
孤立無援の暴君のようになっていく。
しかし、その彼はリストラをされ、
ハローワークでは仕事が見つからず、
毎昼は公園で炊き出しの配給を待っている。
その弱さと痛ましさとで家族の心とつながれるはずなのに、
どこかで不協和音となってしまう。
「やりなおしたいなぁ」
切々としたこのつぶやきは、再生への希望なのだ。
どん底に落ちた時、それでも人は生きていかねばならないのだ。
ならば「やりなおしたいなぁ」と涙を流そう。
きっと、きっとどこからかやり直しがきくはずだからだ。
協奏曲の調和とは、お互いの音を聴くことと、
お互いの音を譲り合い、支え合うことではないだろうか。
その音にならない音を聴く感性が目覚めた時、
家族にはハーモニーが生まれるのではないだろうか。
声無き声を聴き、音なき音を聴く。
ソナタという音楽に例えられた映画の意図は、
ここにあると私は思った。
権威と建前だけの親父は死んだ。
それでいいのではないだろうか。-
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