沼垂四つ角の我が故郷「山小屋」の解体が始まった。
昨日通りががったら、ブルーシートと足場が組まれていた。
二階はすっかりと姿を消していた。
「あーー、始まったなぁ」
雪の中、店の前を通りながら寂しさを感じていた。

今日は見届けようと、夜に店の前に行った。
すると、外壁を残して、
すっかり中は解体工事が終わっていた。
天井も壁も無く、
がんとした空間に、
山小屋の懐かしさを探してもどこにもなかった。

あのカウンターは・・・。
お品書きが張られた棚は・・・。
入り口も、凸凹のコンクリートの床も、
土産の焼き鳥を焼いたコンロも全て、全て、
夢の中なのだ。

兵達の夢の跡。

マスターのMさんは、
この姿をきっと見たくなかったのだろうなあ。
昨年の盆にMさんは亡くなった。
そして、今は魂の故郷の「山小屋」が亡くなった。
栄枯盛衰。
この世の無常をひしひしと感じて帰ってきた。

今夜の雪は、やけに冷たかった気がした。
城主と共に、城の命もついえたのである。

合掌。