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親父たちよ

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  • from: クマさんさん

    2009/07/18 22:25:25

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    大雪山系遭難 死者10名

    私は、このニュースを観た時、絶句し、怒りに体が震えた。
    安達太良山に登ったとき、ここで記したレポートがある。
    このような観光登山が続けられている限り、
    いずれの日にか大惨事が起こるはずだ。
    その杞憂が、現実となってしまった。
    それも10名の遭難者である。
    全て60代の中高年の登山者である。
    何が起こったのか、調べれば調べるほど、
    この登山がいかに常識はずれな、無謀な登山であったか唖然としてしまった。
    何で山に登る人たちが、こんなに幼稚になってしまったのか。
    それは、登山ブームにつけこんだ、
    旅行社のまやかしに騙されてしまったからなのである。
    私は、亡くなった方たちの無念を思うと、
    どうしても黙っていられなくなったので、
    ここに私なりの遭難の原因に対する分析を記すことにした。

    1 19名のパーティーが2泊3日で41.5キロを歩く怪

     旭日岳からトムラウシを越えて下山するまでの全行程が41.5キロだそうだ。
    毎日12〜3キロ山道を歩かなければ、下山できない計算だ。
    山道を10キロ一日で歩くということを、
    山登りをやっている者に聞いてみたらよい。
    これは、とてもハードなトライアスロンなのである。
    それを三日間2千メートルの山で繰り返す。
    この人たちは、鉄人レースでも出るつもりだったのだろうか。
    月間140キロ走っている私でも、きっと覚悟を決める登山である。
    百名山のなせるまやかし業なのだ。
    旅行社は簡単にこんな無謀な計画を宣伝し、
    中高年の登山者を騙してしまう。
    19名という大人数は、パーティーではないのだ。
    ただの寄せ集めの集団なのだ。
    馬鹿野郎と言いたいが、
    19名が列になって歩くことは山では不可能な話なのだ。
    それをガイド3名とポーター1名で引率するなど、
    無責任もはなはだしい話なのだ。

    2 山では天候が全てである。

     15日18:00の天気図を見た。寒冷前線が通過する寸前。
    低気圧は983mbだ。北海道を中心に強風が渦をまいている。
    この前線通過後は、一時的な冬型の気圧配置になる。
    北海道の2千メートルの山の気温は、予想がつくはずである。
     16日の夜中は暴風雨だった。小屋からは一歩も出れない状態だったはずだ。
    その上、天気図を見たら天気の回復は期待されない。
    しかし、朝方5時半に、この年寄りのパーティーは暴風雨の中に出た。
    驚きの行動である。この日の行程は11時間の歩行である。
    狂気か、自殺行為としか言いようがないのだ。
    何でこんな無謀な行動に出たのか。
    それは、帰りの飛行機に間に合わないためだったのかもしれない・・・。
    予備日は無し。
    ここからは、まるで八甲田山の死の強行軍である。
    小屋を出てから5キロ地点で一人が動けなくなり、
    その後10分過ぎに4人が倒れ、
    そして、歩くに連れて一人一人が倒れて行った。
    氷点下の暴風雨の中を体力の劣った年寄りを歩かせて、
    低体温症で死なせて行った。
    小屋で待機すべきだった。
    一人が倒れた時点で、パーティーは小屋に引き返すべきだったのだ。
    何とこの縦走路にはエスケープルートがないのである。
    18名でスタートしたが、全行程12.5キロを歩き通し、
    下山したのは5名だけ。
    しかし、この5名も生き残ったことは奇跡なのだ。

    3 果たしてガイドは、プロのガイドなのか。

     19名にガイド3名とポーター1名。
    6名で3つのパーティーに分けたとしても、
    1パーティーにはガイド1名である。
    登山では、チーフとサブのリーダーが前後を歩く。
    サブは先頭を歩き、ルートファィディングをする。
    チーフは絶えず後ろから全体の動きと体調を掌握する。
    このパーティー、絶対に離れてはならないのである。
    見えないザイルとよく言われる。
    だから、一つになっているパーティーはアクシデントにも強く対処できる。
    山でパーティーがばらばらになってしまった時、事故が起きる。
    プロのガイドは、お客の命を守ることを最優先にする。
    スイスのガイドは厳しい試験に合格した者だけがライセンスを持っている。
    そして、ガイドがお客を選ぶのだ。
    ガイドに全ての権限が与えられ、行動の主導権はガイドに在る。
    それは、お客を安全に降ろすためである。
     しかし、日本は違っていた。
    お客もガイドを添乗員のように考えているのかもしれない。
    高い料金を払っているのだ。
    何で引き返す必要があるのだ。
    会社を訴えるぞ。
    とにかくお前たちは、私たちを山に登らせればいいのだ。
    そのために、暴風雨の中でも登山は行われることもある。
    旅行会社は、払い戻しやクレームを恐れるのではなく、
    お客を山で死なすことを本当は恐れるべきなのだ。
     北アルプスで会った、若い女性のガイドのことが忘れられない。
    彼女は明らかに山を知らなかった。
    添乗員をしていた彼女は、ガイドとしての部署に配置転換されただけだった。
    その彼女が10名以上の中高年の命を預かっているのだ。
    それが、ガイドの現状である。

    4 寄せ集めの人間に信頼関係は成り立たないのだ。

     登山は、観光旅行とは違う。
    大自然の中で、一つ間違えば命を落とすこともある世界なのだ。
    だから、心して掛からねばならないのに、
    お金を出せば、誰でも山に登れる時代となってしまった。
    私たちは高山を登るために、低山でトレーニングを行い、
    山の経験を積み重ねてきたものだ。
    それは、全て自分たちが決め、自分たちの責任で帰ってこなければならないからだ。
     お金で、そんな苦労はなくなると錯覚してはいけない。
    登山中にどんな事故に遭い、どんな不運に見舞われるか分からない。
    そんなトラブルの時、助け合い、力づけてくれるのが山仲間なのだ。
    だから、私は絶対に力量を知らない人を飯豊には連れて行かない。
    山は自分の足で歩かない限り、下山できない厳しい世界だからだ。
    金なんか、暴風雨の中では何の役には立たないのだ。
    山中で置き去りにされた人たちの無念を想うと苦しくなってしまう。
    他のメンバーは、その人たちを見捨てられるのだ。
    何故ならば、たった二日前に出会ったばかりの他人だからだ。
    いざとなれば、生き残るのは自分だけでもいいのである。
    弱いものは、置き去りにされ。
    強い者だけが生き残る。
    ああー、いつから登山とはこんな非情なものとなってしまったのか。

    怒りに任せて長く書きすぎた。
    しかし、この遭難を決して風化させてはならないのだ。
    この遭難は、「人災」である。
    徹底的な原因究明を求めると共に、
    登山の原点とは何か、再考する時が来ているように私は思う。
    「山は生きて降りることに全ての目的はあるのである」
    「山で死んではいけない」
    「引き返す勇気こそ、山には求められるものである」
    「山は逃げない」
    「安全登山を最優先にすべきなのだ」

    ここでも何だか「金」と「欲」で、
    この鉄則が忘れられているように感じた。

    ご冥福を心から祈る。

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