フルマラソンは、ゴールできなかったが、
私には、もう一つの大切なゴールがあった。
それは、古町どんどんでのｙｕｃｃａさんのコンサートだった。
その日は二日目最終日。
私には、ｙｕｃｃａさんファンクラブでの、
ブラヴォーブラザーズとしての大切な役割が待っていた。

とにかく体育館の更衣室で着替え、重いボストンバッグを肩にして、
古町６番町に向かった。
１時３０分からのコンサートは、すでに始まっていた。
美しいｙｕｃｃａさんの素晴らしい歌声に、
超満員の会場だった。
「花束王子」がいた。ブラザーズの長者様もスタッフとして活躍していた。
３０キロ近くを走ってぼろぼろの私だった。
でもｙｕｃｃａさんに会いたい一心でこの会場にたどり着いた。

もちろんブラヴォーの雄たけびを会場いっぱいに響かせた。
私のゴールはここなのだから。
「ｙｕｃｃａさん。」とコンサートを終えた彼女に声をかけたら、驚いていた。
「マラソンは・・・。」
貴方の歌を聴きたくて、やって来ました・・・。

４時のコンサートまでの時間を、長者様と飲むことにした。
しかし、疲れ切った体には、生ビールと濃いめのハイボールは効くものだとよく分かった。
全部五臓六腑に吸収される。
酔いはどんどんボルテージを上げていく。
私たちは早目に陣取り、そこでもハイボールを飲んでいた。
ここで燃えねば、何のための人生か分からないではないか。
ある意味、ｙｕｃｃａファンクラブでは、目立ってしまった存在となっている。
「ｙｕｃｃａさんのコンサートは、俺たちが盛り上げる。」

とにかく、ｙｕｃｃａさんの歌がよかった。
３０キロ走った体は、全ての雑念が抜けて、とてもピュアになることがよく分かった。
とにかく泣けて泣けて仕方ないのだ。
思い返せばちょうど一年前のこの会場で、
彼女の「夜の女王」に出会い、立ち止り、感動で震え、涙が止まらなかった。
歌の力とは、こんなにも凄いものなのか。
オペラが街に降りて来た。
その時も、大きな声で「ブラヴォー」を叫んだものだった。

あれからたった一年のうちに、本当にいろいろな出来事があった。
ｙｕｃｃａさんを主演にした映画の脚本まで書いてしまった。
コンサートの中で「ブラヴォー・ブラザーズ」のことを彼女が話してくれた。
ありがてぇなぁ。命懸けで応援するぜ。
ｙｕｃｃａさんは、やっぱりクラッシックの歌い手なのだ。
それもプッチーニがとても似合い、
「私のお父様」には、いつもいつも感涙ものだ。
親父が泣きながら歌を聴いている。
ｙｕｃｃａさんのイタリアーノは、最高なのだ。

「ｙｕｃｃａ、龍馬伝歌って。」
その私のリクエストに、ディーバは応えてくれた。
時間をたっぷりと延長したコンサートのラストには、
私のリクエストの「想望」のスキャットを歌ってくれた。
その物語を感じ、ドラマチックな歌声に、私は感極まってしまった。
「この奇跡は、いったい何なのだ。」
ｙｕｃｃａさんの歌声には、奇跡がやっぱり存在していた。

「ブラヴォー。」私は席を立ち、スタンドオペーションをした。
するとどうだろうか、その会場にいた全ての人が、
私と同じように立ち上がりｙｕｃｃａさんに拍手と賛美の声を送っていたのだ。
「新潟市民が、スタンドオペーションをしている。」
私は、この事実に長者と見つめ合い、
「とうとう出来たね。」と感動して、握手した。
コンサートは、熱く、感動的なものである。
ｙｕｃｃａさんの歌なら、それが可能なのだ。

奇跡のディーバだ。
最後の歓喜のブラヴォーは、私にとってのフルマラソンのゴールだった。

ｙｕｃｃａさん、ありがとう。
貴方の歌も、姿も、魂も、全て美しく、私の心を魅了しました。
ブラヴォーブラザーズは、貴方のために燃え尽きる覚悟です。
ｙｕｃｃａさん、また古町で歌ってください。
心から貴方の歌を讃えます。