悲惨な一日について。
土曜日に、瀬波温泉に山賊のはんばぎぬぎで泊まりに行った。
しかし、日曜日には免許更新で9時までに柏崎に行かねばならなかった。
こんな日程を立ててしまった自分を恨んだ。

5時に起きて温泉に入った。
剃刀を忘れて来てしまったことに気づく。
ホテルのサービスの剃刀でひげをそった。
口の周りが血だらけだった。

朝早いために朝食は食べられなかった。
それでも宿代は同じだと言う。
14000円。
それでは朝食は、無料なのかとホテルに聞きたい。
前日宴会で握ってもらった握り飯と天ぷらが私の朝食だ。

5時50分、神林から高速道に乗った。
とにかく疲れていたし、朝早いため体調がよくなかった。
対面交通のこの道路、走りづらさを感じていた。
後ろから来る車のあおることあおること。
それでも我慢の安全運転だったが、ずっとこの緊張感が続いた。

黒崎パーキングで休憩をとり、朝食にした。
ありがたい握り飯を食べてから、外に出た時、驚いた。
キーレス何とかが、キーホルダーから消えていた。
キーホルダーを持った瞬間、どこかに飛んで行ってしまったのだ。
探した、探した。しかし、どこにも存在しなかった。
気持ちが一気に暗くなった。来なければよかった。
調べてもらったら、14000円もするのだそうだ。もっと暗くなってしまった。

会場に着いた。雨だった。
講義が始まった。酷い講義だった。法令の話ばかり。知っていることばかり。
こんな退屈を強いられるために、はるばる村上から高い高速料金を払って来たのかと情けない。
無意味なことにじっと耐えていることの辛さをよく分かった。

午前中の苦痛なる講義を終えたので、息抜きに外に出ようとしたら、ないのだ。
何度傘立てを探しても、私の傘が存在しない。
ガーン。本日は教師の集まりのはずなのに・・・・。
誰かが間違ったのだろうと思いなおしたが、
やっぱり帰りも私の傘は無かった。
雨に濡れて駐車場まで私は走った。

それから高速で新潟までだった。
わけあってETCが使えない。
しかし、二日間で300キロの旅である。
アクセルを踏む右足の足の裏が今にもつりそうだった。
いつつってもおかしくない状況で運転した。
緊急事態ならばどう対処したら良いのか。
だましだまし冷や汗ものの運転だった。

無事に我が家にたどり着いた時、
「生きて帰っただけで十分だ。」と、へんな慰め方で自分を労わった。
悲惨な一日だった。家族からも同情された。

しかし、部屋に入って、着替えを入れたスポーツパックを開けて、中のものを出したら・・・・。
あったのだ。キーレス何とかが。奇跡だった。信じられない出来事だった。
キーホルダーから飛んで行ったこれが、このバックの中に着地していたのだった。
14000円。助かった。今度は家族から呆れられた。

こんな悲惨な1日の幕切れを、誰が予想したことだろう。
つまり、人生とは、何が起こるか分からない舞台なのだ。