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from: クマさんさん
2011/11/14 05:59:50
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原点に帰る
昨日は、久しぶりに楽しかった。
ぷれジョブイーストの「かさこ地蔵」の演出を頼まれて、
石山公民館に出かけた。
そこで、演劇の原点に出会った気がした。
頼りになるのはお爺さんとお婆さんである。
そのお爺さん、なかなか台詞が入っていない。
ここで迷いが生まれる。
まず演ずるためには台詞なのだ。
その後に、その台詞の人物となり想いを伝える。
状況設定は決めごとだった。
役者さんが戸を開ける演技をすると、そこに入口の戸が見える。
お爺さんがぐるりと回って止まると、そこはすでに町の中なのだ。
さて、お爺さんに呼び掛けられる町の人たちがチャレンジドだった。
「傘いらんかね?」と聞くと、子どもたちがそれぞれ想いをその場で語る。
同じ台詞は二度とないのだ。
「傘、いります。」と答えられて慌てふためくお爺さんに大笑いだった。
劇は、稽古で作るが、作れない場合もある。
その時は、即興に委ねていけばいいのだ。
何だかチャップリンのサイレント映画を観ているようだった。
そんな間を、しっかりと音楽が支えてくれていた。
Hさんの音楽は美しく、ペーソスがあり、心に響く音楽だった。
その音楽が、観客の心に届き、その場の空気をその場らしく変えて行く。
実は、劇で大切な要素は、音楽と照明なのだ。
しかし、照明がステージ照明だけとのこと。
惜しいなぁと、ちょっと思う。
地蔵様は6名の子どもたちだ。
立っているだけなのだが、立っていられない。
じっとしていられない地蔵様相手に、孤軍奮闘のお爺さんだ。
そこで、黒子としてお母さんたちに舞台に出てもらった。
「ではけ」がある意味、舞台全体のリズムを決める。
そして、舞台上の段取りが段取り通り進行するためには、
人や道具のではけも大切なのだ。
2回目の練習ではお母さんたちに黒子になってもらったので、
実にスムーズに舞台が流れた。
チャレンジドの存在感は、誰も真似の出来ない存在感だ。
そこに居るだけで、絵になっている。
それは役者さんが作ろうとしても難しい存在感だ。
演劇は、やはり登場人物一人一人の個性と存在感なのだ。
そのことは、この6名の地蔵さんたちは実に見事にクリアーしている。
後は、お爺さんがその予想も出来ない演技に対して、
どうそれを受けて、どうアドリブで返すかである。
ただし、とにかくおかしい。とにかく笑える。だけの劇では作り手のテーマは伝わらない。
やはり、劇には感動が必要だ。
最後の挨拶でジーンと心に迫り、自然と涙が流れるような感動を、
やはりお客さんは求めているのだ。
そのためには、お爺さんとお婆さんは本物の役者にならねばならない。
黒子のお母さんとたちは、しっかりと段取りを陰で支えなければならない。
音楽は生演奏なのだから、場の雰囲気を察知して、盛り上げなければならない。
そして、照明で素敵な灯りを演出しなければならないのだ。
チャレンジドの子どもたちは、自由に舞台で遊べばいいのだ。
その遊びを支え、その遊びを劇に昇華させるのは、大人たちの仕事である。
それこそ、ぷれジョブの姿ではないだろうか。
最後は、役者さん一人一人の紹介がある。
この時の子どもたちのお辞儀がとても素敵だった。
何だか誇らしく、自信をもって、やり遂げた充実感に溢れていた。
そして、全員で「ありがとうこざいました。」とお辞儀をして、万雷の拍手を受けた時、
きっとお客さんも役者さんも感動で、涙することだと思っている。
演劇の原点は、みんなで創り、楽しむことなのだ。
久しぶりに楽しい想いをさせてもらった。
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