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from: クマさんさん
2012/10/07 09:22:18
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キビタシの森の物語 初日
さて、初日の朝。
とうとうこの日が来た。
私が森の民の勇者ゾマイとして舞台に立つ。
昨日の二回目の公開リハーサルは、ぼろぼろだった。
疲労困憊。
人間ここまで力が消えてしまうものかと、
本当に最期の力を振り絞って演じた。
ソロの歌では歌詞が飛んでしまった。
恥ずかしく、劇団のみんなにすまなかった。
やってしまったことは元には戻らない。
それからも、歌は続き、劇ではゾマイを演じなければならないのだ。
舞台は、確かに人生そのものだった。
ここに至るまでの先週からの苦闘の苦悶の日々だった。
よくぞたどり着けたものだと自分を褒めた。
しかし、人間には限度があるのだ。
身体と心とは実に正直に反応した。
つまり、自分を守るために一切を強制的にシャットダウンしてしまったのだ。
それも、舞台の上で。
離脱する私がいた。
それでも劇はクライマックスに向かって怒涛のように流れて行くのだ。
それは、恐ろしい経験だった。
私はそこでゾマイでありながら、私が疲弊して、ただ立っているだけの人となってしまった。
「おい、どうした。」
これもまた人生だった。
その怖ろしさを感じながら、畏れわ感じながら、
今日はお客様の前でゾマイを演ずる。
私にこの役をくださった天に感謝する。
ゾマイを演じながら、ゾマイであることが私なのだと想えるようになった。
私は私のゾマイを演じ切る。
いや、私は私の人生を全てこのゾマイに託し、生き切るつもりだ。
舞台は、やっぱり人生そのものなのだ。
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