朝、目覚ましをセットして、走るようになった。
少々太ってしまったので、また減量の目的で、1時間のランニングをかしている。
途中、いくら歩いても構わないランニングだ。
早朝はまだ走ることはできるが、日中は暑さの中で走ることは無理だった。
そこで、トンネルを走ることにした。
これを3往復すると大体1時間になる。
朝や午前中に時間がないときは、下山のスポーツセンターに夕方出かけた。
この時も5キロをセットにして35分間で走るようにしている。
そのおかげで、すこしずつ体力が戻ってきたような気がする。

走ることは、中学生の頃から続けている。
もう40年以上もこうしてランニングを続けていることになる。
それにしてもなかなか走った分の効果は現れないが、
走ることを始められたということは、私にとっては大きな変化だった。

精神的に参っているときは、走る気力は起きないものだった。
走らねばならないと思いながら、何かと理由を付けて走ることから逃げてきた。
私はとても弱い人間だから、逃げる理由はいくらでもつけられるのだ。
「今日は蒸し暑いから」「今日は少し足が痛いから」「今日は疲れが溜まっているから」
自分のためなのに、自分で走らない理由を付けて走らなかった。
そうすると、走らないということが習慣となり、続いてしまうのだ。

そのうちに体重計にも乗らなくなった。
糖尿病や高血圧のためには、大事な身体のチェックなのに、
測ることで、厳しい現実と直面することに躊躇しているのだった。
そうして、日はどんどんと過ぎていった。
気づいたら、今、こうして、こんなになって生きているのだ。

ある日、恐る恐る走り出した。
重い。とにかく足が前に出なかった。
以前は一気に走っていた距離を何度も立ち止まり、歩き、走り、また歩いた。
タイムを見ると泣きそうになるくらい情けないタイムだった。
息はすぐに上がり、何よりもあんなに気持ちよく走っていたはずなのに、
走ることが辛くなってしまったのだ。

ああ、いつものことをまたやっちまったな。
「後悔」ということは、しないことにした。
嘆いたり、自分を攻めたりしても、先には何も進まないからだ。
休んでしまった分、元に戻るまでのスパンと変化は大きくなっている。
何でもっと早く気づかないのだと、思ったところで何も変わらない。

しかし、それでいいではないかと、自分に言ってやると、楽になった。
不思議なものだが、そうやって何百回も中断しても、
また再開することで、続けられるようになるのだった。
弱かったら、その弱さを認めてあげればいいんだ。
弱い自分に「いいよ、いいよ」と慰めてやればいいのだ。
「また1からはじめてみようよ」と、声をかけてやればいいんだ。

1キロも走れなかった私が、今は1時間ゆっくりと走ったり歩いたりしている。
「何事もやってみないとわからないね。」
「弱くていいじゃないか。休みたい時は休めばいいんだ。」
けっこうストイックとは真逆で生きている私は、
今回のランニングの再開から、そんな当たり前のことを学んだ気がした。

この「親父達よ」も、そんなスタンスで続けてみることにする。
そろそろ、思考の体操が必要なような気がするからだ。
ある意味新たな視点から、「生きること」を書き直してみたいと考えている。