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from: クマドンさん
2014/10/31 05:48:20
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メメント・モリ 死を想う
父が昨日退院した。
一週間の入院だった。
その間に、私は何度も夕食時に病室を訪ねた。
その度に、父に怒鳴られながらも。
行くとベットで寝ていることが多かった。
病室の誰とも話さなかった。
孤立していても、独りで在っても、それは苦にはならものらしい。
向かいのおじいさんには、奥さんが付き添いにやって来た。
そのことを父は羨ましく想っただろうか。
テレビのカードがなくなった。
テレビの音が聴こえない。
布団が重いから何とかしろ。
夕食はまだなのか。
私に対しては、言えないことは何もなかった。
私は、耐えられる間は聴いているが、
これ以上は無理だと思うと、「また来るね」と言って、病室を出ることにしている。
腹を立てない。それが父との関係では大切な距離感だった。
老いるとは、子供に還ることなのだろうか。
還暦とはよく言ったもので、生まれた頃の原点に戻るようだ。
古希とは、ここまで生きることは希なこととの意味だった。
しかし、今の世の中、奇跡ばかりだ。
さて、いずれ行く道。
父を見ていて、私自身の老いについて考えさせられた。
できるなら、ぽっくりとある日、突然この世を去りたいものだ。
もし、重い病気にかかってしまったのなら、延命治療はお断りする。
とにかく、誰にも迷惑をかけず、本人も苦しまないように、
ただ自然に任せて、すうっと消えていきたいと願っている。
その日は、きっといつか来るはずだ。
「死を想わないと、本当の対話はできない」と、ある作家は言っていた。
だから、消えてしまうその日を想い、今日一日だけは生きてみようと、
毎日心に言い聞かせている私だった。
父は、どうなんだろうか。
確実に迫っているはずの死について、彼は覚悟を決めているのだろうか。
淡々と日常は過ぎていくが、
やっぱり明日は死ぬかもしれないと意識して生きることは、
その人の生き方を変えてくれる大きな力となると私は思っている。
父は、退院した。
しかし、この人生からリタイアして、もう一度リセットすることはできない。
今日も父は父としての、私は私としての命を生きて行く。
さて、どう生きようか。
それが日々私に求められている宿題なのだと考えている。
父は、今朝はきっと安心して目覚めることだろう。
コメント: 全1件
from: wakaさん
2014/11/04 11:17:36
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退院、オメデトウ(^▽^)ゴザイマース!
親孝行ですね!
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