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from: クマさんさん
2015/01/27 22:44:53
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今日も父の病室だ
死ぬとか、生きるとか、そういうことではない気がした。
父は、私がどうあろうとも、その日も病院のベットに居る。
そのことが何よりも大事なことで、いつも何をしていても心からは離れなかった。
休日にはのんびりとはしたかった。
でも、父の病室を訪れる時刻だけは自分で決めて、それを守ろうと努力した。
平日は、その日の仕事を勤務時間になんとか終わらせ、
申し訳ないけれど、帰れる時には帰って、父に声を聞かせようとも想っていた。
不思議なことに、一緒に暮らしていた時には、何も心には止まらず、
時には煩わしいなぁと想った存在であった父なのに、
病室のベットで独りぼっちだと想うだけで、何だか行かねばならないと感ずるのだった。
そんなにもべたべたとした関係ではなかった。
酒を飲むと大暴れをし、競馬で身上を三つも失っているギャンブラーだった。
しかし、何だか憎めない人で、私や妹には何も言わない優しさがあった。
父のことは私は好きだった。
どんなにどうにもならない人であっても、
やっぱり好きだと言う本質は変わりようがなかった。
何を語り、何を学んだと言う関係でもなかった。
いつも私は幼い時から、酔っ払い、暴れている姿ばかりを見続けていた。
それでも、どうしても父を嫌いにはなれなかった。
それは、母も同じだったのだろうと想う。
父の魂のすがすがしさがあったからだと、今は想う。
父は、愚かで真っ直ぐな自分に忠実に素直に生きてきただけの人だった。
魂が、洗われたように潔があったから、それはそれでいいのだと今は想う。
それでも世間はやっぱりいろいろとは言うが、
それはそれで、私や妹にとってはかけがえのないたった独りの父親だった。
私は、いつも父に感謝していることがある。
それは、ここまで生きてくれて、私や妹に片親の寂しさを味わわせなかったことだった。
私は、どんな親であろうとも、生きてやることも大切なことなんだと、
今は想っている。
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