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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2016/01/22 09:13:31

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    父の命日

    今日は、父の命日だ。

    1年前の1月22日の夜中に父は息を引き取った。
    そして、この時刻には、父は御遺体として座敷に眠っていた。
    3年前K病院に緊急入院し、退院と同時に介護施設に入所した。
    入院中に同じ病院の4階の病室で母が危篤の時にも頑なに来なかった父。
    通夜にも葬儀にも参列することを拒んだ父。
    それは父なりの母に対する想いだったのだと、その時私は想って諦めた。

    父は、そんな理由から、施設に入っていも自宅に帰ることを頑なに拒んだ。
    何度も誘い、施設の職員の人の協力を得て、車いすでも移動できたのに、
    父は、絶対に生きている間は自宅には帰らなかった。
    それも父なりの想いだったのだと、私は諦めた。

    母の命日は6月22日だった。
    22日は父と母は同じ命日だ。
    それから、二人とも金曜日の夜中に息を引き取っている。
    会葬する人たちのことを想い、通夜と葬儀とは土日だった。
    そんなところにも父と母との想いが忍ばれた。

    仏壇が座敷に置かれた。
    母の写真だけだったが、昨年からは父の写真もそこに並んだ。
    生前喧嘩ばっかりだったが、とにかく父も母もお互いを好きだった。
    もたれあい、支え合い、わがままを言い、わがままをして、
    それでも私と妻と孫2人に囲まれた老後の生活を送った。

    私たちは、2人の臨終に立ち会った。
    母は、肝臓に転移した癌が末期となり、入院して2週間の死だった。
    父は、腎臓の数値が悪くなり、施設から病院に入院だった。
    そのうちに、認知が進み、最期は寝たままで衰弱して息を引き取った。
    父は、病院では半年だった。
    父は認知であり、母は脳梗塞だった。
    2人とも、死への恐怖を感ずることなく、
    眠ったまま、そのまんま、自然に息を深く引き取って、私たちと別れて逝った。

    穏やかで、静かで、まるですうっと消えるように、この世から旅立った。

    私は、その二人の臨終に立ち会って、父と母の魂の存在を確かに感じた。
    「居なくなってはいない。」
    「ここに、確かにここに居る。」
    亡骸はここにあるが、もうそれは父でも母でもなくなっていた。
    生まれてきてからずっとずっとお付き合いした抜け殻とでも言うのだろうか。
    御遺体には、リアルな存在感は感じられなかった。

    それよりも、「お父ちゃん」「おかぁちゃん」「おじいちゃん」「おばあちゃん」と
    そう祈って呼びかける時、ほっと私の中の何かが感ずるようにして、
    ここに「ある」「居る」父と母とにリアルな存在を感じられた。

    離れることで、傍に来てくれた。
    「8日」というフランス映画を観たら、私と同じ感覚だった。
    ダウン症の青年ジョルジュは、4年前に亡くなった愛する母に、
    想いをもって目を閉じると、その優しい母が現れるのだった。
    母は、慈しみの眼差しで彼を見つめ、彼をその胸に抱きしめてくれた。

    想いと祈りと信ずる心さえあれば、父と母とはひとつながりの世界だった。

    だから、私は孤独であろうとも、生き抜くことができるのだろうと思っている。
    それは、彼ジョルジュと同じだった。

    どういうわけか、私は二人の旅立ちを見て、死ぬことを畏れなくなった。
    怖くないとは嘘になるが、死んでもいいかなぁとも自然に想える。
    それは、生かされている間はけっして死ねないのだけれど、
    この世での働きを止めることを赦されたら、
    きっとその旅立ちは、まさにその言葉のように新たな未知なる世界への、
    希望への旅立ちとなるのでは、と想えるようになったからだ。

    そこには、ジョルジュが見たように父も母もいてくれる。
    今は、私はこっち側に居るけれど、
    その日が来れば、父と母のようにして、すっとあっち側に行けるのだ。

    父と母とは、そんなことを私に教えて旅立った。


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