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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2016/10/14 06:21:23

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    在る担々麺

    「尋師訪道」

    道を歩けば歩くほど深くなる。
    遠くに行くのではく、きっと深くなる。
    深いものこそ、リアルなものだ。

    「大威」の担々麺を食べた。
    とにかくこの一杯の担々麺と出逢う日が待ち遠しい。
    だから、一度食べた後、すぐには食べないでいる。
    月にほんの何度と自分で決め、
    その日に出逢うことを心の励みとしている。

    カウンターに座る。
    どんぶりが届く。
    カレーの香りがほのかに香る。
    ひき肉が小さな丘のように芳醇なスープから顔を出し、
    青梗菜がその傍に佇んでいる。
    まずはスープを一口蓮華でいただく。

    美味いは、身体に沁みるものだ。
    美味いは、身体が喜ぶものだ。
    不思議だが、美味いを身体は私が生まれる前からもっている。
    美味いは、きっと私が知らぬ間にここにあるものだ。
    その美味いが、美味いと邂逅する。
    やっぱりそれは、歓喜に違いない。

    身体の喜びは、魂の喜びでもある。
    言葉が出ない。
    そんなありきたりの褒め言葉で表現してはならない。
    この存在に繋がる言葉だけが、
    この担々麺を現すことができる。
    言葉にはならない。
    しかし、そこには深い深い意味のようなものを感ずる。

    担々麺は、語らない。
    なのに、どうして、私はこの担々麺と語れるのだろうか。
    これまで私は、美味いパスタに語りかけ、
    美味い蕎麦に語りかけた来た。
    黙って食しながら語れるものは、確かに存在しているのだ。
    私は、そのリアルを私の身体と魂とで体験している。
    それは、担々麺が無言で語りかけてくれるからだろうか。

    ここには「在る」が在る。
    それは、誰が何と言おうが変わりがないものだった。
    そして、本当に「在る」ものを、
    私は、言葉では説明することができない。
    もし、語るならば、「在る」が消えてしまうからだ。
    説明できるものは、限定されるもの。
    その「在る」そのものではけっしてないものに化けてしまう。

    私は、ただこの担々麺を味わうばかりだ。

    いつも食べながら、「深い」という在り方を考えている。
    「深いねぇ」としか、店主には言いようがないのだ。
    味がどうのこうのとでは、私の真意は絶対に伝わらないだろう。
    この「在る」は、店主が師を尋ね、長い長い修業の道を歩いた結果、
    到達した悟りの味である。
    彼は、これだと感じ、ここに至った。
    それを、この一杯の担々麺に伝え、託し、現した。

    この担々麺は、彼である。
    そして、この担々麺は、ここに満ち満ちている「在る」そのものだ。
    私は、担々麺に逢いに行く。
    そして、黙して語らず。ただ身体と魂に沁みるものを感じ、喜びを感ずる。
    たった10分間くらいの出来事だ。
    麺が無くなっても、私はスープを味わう。
    摩り下ろしたにんにくをたっぷりと入れ、練られた辛子をそこに添える。
    スープは変幻自在、どんどんと深味を増していく。
    不動にしてここに「在る」。

    在るんだから、仕方ない。
    在ることに対して、黙して語らずだ。
    ただ、在るを感じて、味わうのみ。

    さてさて、夢中になって味わっているうちに、
    薄い辛子色のスープが随分と減って来た。
    お別れの時間かな。
    私は、感謝して、心の中で手を合わせて合掌する。
    それは、喜びを与えてくださった恵みに対する、ささやかな返礼だった。
    拝んで、ただただその「在る」という見事さに敬意を表する。
    私は、担々麺に頭を垂れる。

    店主に笑顔で、ただ一言。
    「深いねぇ」とだけ言って席を立つ。
    店主は笑顔で、ただ一言。
    「ありがとうございます」と、深々とお辞儀する。

    担々麺で、私と店主とは一つになる。
    「そうだよね。」「そうですね。」ただそれだけ。
    在るものは、別々を一にする。
    私も、店主も、担々麺で一になる。
    それはそれは、不思議な瞬間だった。

    在るを創りだす人。在るを味わう人。
    その二人とも、在る人である。

    「無情道取」担々麺で道を習った。
    「身処にきき心処にきく」
    それは、ここに在る。

    願わくばこの担々麺のように菩提心を発し、深く深く在りたいものだ。

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