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from: クマドンさん
2017/01/30 06:08:50
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奥深い味を求めて
太威がラーメングランプリをとれなかったそうだ。
昨日の昼、吉報を信じて店を訪ねたら、
店主も若い彼女も、「残念でした」との報告だった。
お客さんが選んだラーメンは、5つの内太威がダントツ一位だった。
それは、お客さんたちが貼って行くシールの数で一目瞭然だった。
何か今年からルールが変わったと言う。
しかし、よくよく考えてみたら誰にでもわかること。
食べたお客が一番美味いと言って投票しているラーメンが、
やっぱりグランプリに選ばれるだろうと。
ところが、シールの数では圧倒的な一位でも、
結果は何と三位だったそうだ。
どんな採点が行われたのかは理解できないが、
その採点基準からすれば、
結果的に三位の順位となるのだそうだ。
「勉強になりました」と、店主は笑顔で語っていた。
私は、この味をここまで信じて、応援して来た。
そして、ふるさと村での感触では、
絶対にグランプリは間違いないと確信をしていた。
しかし、現実とは、かくも厳しいものなのか・・・・だ。
担々麺の大盛を食べた。
やっぱり奥深い味だった。
この味の他に、担々麺は存在しない。
その味とは、私が求めてやまない究極の味でもあった。
奥深い。だから、未だ味わいつくせぬ美味であった。
私にとっては、この担々麺こそ、グランプリだ。
そしたら、ある夜、あるパスタ店に言った時のことを思い出した。
この店の「渡り蟹」の味が好きで、昔はよく通った店だった。
最近は、映画に行くことも少なくなり、この店に来ることがめっきりと減っていた。
久しぶりだと、ある夜、その店を訪れて、この「渡り蟹」を食べた。
楽しみに、楽しみにしてきた「渡り蟹」
なのに、フォークで撒いて一口食べたら、味が全く違っていたのだ。
「何だ、これは」と、私は自分の体調がおかしいせいかと思い、
目をつぶって、丹念に、丹念に、このパスタを味わってみた。
「語らない」
実に、いい加減な、何も工夫のない、どうにもならない凡庸な味だった。
「どうしたのか」と私は感じ、やっぱり店の女の子に聴いてしまった。
「味、変えましたか?」と。
女の子は、しばらくきょとんとしてから、
「そんなことはありませんよ」と、笑顔で去って行った。
しかし、不味いのだ。
こんなものにお金を払うことがもったいないくらい、不味いのだ。
いや、不味いのではないのかもしれない。
それは、私が求めていた大好きな味ではなかったから、
きっとそう感じたのだと、私は想った。
しかし、それなら先に言ってくれればいいのに・・・・。
「渡り蟹は、お客様がご期待する味は当店では出せなくなりました」と。
そうしたら、余計なお金を使わずに、食べずに帰れたのに・・・。
レジで支払う時に、もっと驚いた。
「お客様の貴重なご意見ありがとうございました。
新人のシェフだったので、きっと味が変わったのだと思います」と。
馬鹿な。何をこの人は言っているのだろうか。
新人だから仕方ないのですとでも言いたいのか。
その味を求めてわざわざ食べに行ったお客を馬鹿にするなと、ちょっと腹が立った。
味が全く違うものを出しながら、正規のお金をとるのは、
詐欺ではないのか。
ただ今、新人がシェフをしています。
お客様のご期待する味は出せません。
それでもよかったらお召し上がりください。
値段は半額の500円です。
味とは、そういうものではないだろうか。
味は、既に私の中に存在している。
いや、きっと普遍としてここに在るのだと私は思う。
その普遍を自らの修行でつかみ、試行錯誤の果てに生みだせる人こそ。
本当の料理人であり、シェフなのではないだろうか。
本物の奥深い味を出して、グランプリをとれなかった店主が居る。
いい加減な不味い味しか出せないのに、いつもの同じお金をとるシェフがいた。
でも、お客が求めてやまないのは、
「これぞ」という、究極の味なのだと、私は想った。
だから、美味いものには奥深いものを感じてしまうのだ。-
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