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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2017/02/14 06:08:03

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    「シグナルとシグナレス」

    シグナルは、シグナレスを愛していた。
    しかし、その愛は叶わない愛だった。
    2人は愛し合いながらも、一緒になることはできなかった。
    何故なら、二人は、シグナルであり、シグナレスだから。

    そこで、夢を見た。
    同時に二人は夢を見た。
    気付いたら二人は夜の海の渚で肩を並べて座っていた。
    アブラカダブラだった。

    愛し合う夢も、結婚する夢も、こうして肩を並べている夢も、
    その一瞬で叶うことができた。
    「ああ、幸せだなぁ」と、二人が見上げた星空の世界。
    そのどこかに二人がさっきまでいた地球があるはずだ。
    その星空を二人で見上げていたその時、
    その夢は、終わった。

    気が付けば、やっぱり二人はシグナルとシグナレスだった。

    宮沢賢治の物語「シグナルとシグナレス」は、そんな哀しいお話しだった。
    「賢治の会」が日曜日、松浜のコラボ屋であった。
    13名でこの童話をリーデングする。
    そして、この物語の感想を語り合う。
    物語を読む。声に出して読む。その読みを聴く。その想いを語り合う。
    本当に素朴なることであるが、
    これがとてもいいといつも感ずる。

    ひとりでは決して行くことのできない深い深いところへ、
    いつの間にか私は誘われて行く。
    まるで、この二人のようにして、はっと気づくと賢治の宇宙のど真ん中だった。

    この物語に登場するシグナレスのような女性は、実際にいたそうだ。
    賢治はその人を愛し、結婚まで考えていたそうだが、
    その愛は、成就することなく、その女性はアメリカに渡り結婚したそうだ。
    そんな事情を、ある本を読んだ人から聞くことができた。

    そして、この物語は、岩手日報で新聞小説として発表されたそうだった。
    しかし、こうした賢治の恋愛については、
    狭い地域であるから、きっと知っている人も多かったと想う。
    賢治が書いたと知れば、ああ、あの女性のことだなぁと、
    気付く人も多かったと想う。
    例え、それを寓話として書いたとしても、
    ここにある二人の恋愛は、ある意味事実なのだから。

    それなのに、何故、賢治は新聞小説としてこの物語を発表したか。

    私は、はっと気づいた。
    新聞小説であるべきなんだと。
    何だか、賢治の大胆な試みに、胸がすっとなるような気がした。
    賢治は、すごい。
    これをやるか。

    それは、この物語そのものが、ラブレターなのだということだった。
    遠くに去ってしまったその女性も、
    いつかきっとこの物語を読んでくれるはずだと、
    彼は想像したのではないだろうか。
    「愛しています」
    「結婚しましょう」
    「あの星雲のリングが、結婚指輪ですよ」

    そして、夢の中で二人は男と女として結婚する夢を果たす。
    しかし、この地球ではなく、
    あの頃夜空で見つめて語り合った、あの星雲のどこかの星で。

    全く理解不能。難解至極。この世界は私には遠い世界だと、
    この初見の物語を読みながら、賢治の世界には至れないままだった。
    しかし、皆さんのお話しを聴きながら、
    そうだ。きっとそうだったんだという、こんな発見をするが出来た。
    それが、リーディングの妙なのだと、改めて感じた。

    物語を声に出して読む。
    物語を聴く。
    そして、お互いにその物語を共有し、共感し、感想を語り合う。
    その語りには、その人の人生が現れて来る。
    多様な視点から、その物語が語られる。
    そこには、私独りでは決して気づかなかったものがある。
    その発見を、気付きをまたそこで共感する。

    さてさて、そんなリーディングの会を、
    私と元公民館長のAさんで立ち上げることにした。
    講師は劇団を自らもち、脚本と演出、役者まで手掛けるSさんだ。
    4月から、毎月1回。三回のワークショップになる予定だ。

    物語を読む。
    そのアブラカダブラを、もっともっと感じてみたい。

    ここにも、「君の名は。」の世界が存在しているような気がした。
    私は、物語を読むことで、物語を聴くことで、
    私の中の君と出会う気がしているからだ。

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