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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2017/04/18 21:36:39

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    「リトル・フォーレスト」夏

    疲れているなぁ。
    1時半に目が覚めた。それから、また眠った。
    3時半に目が覚めた。それから、寝床で本を読んだ。
    しかし、この身体の疲れと、眠気とはどうだろうか。
    復帰して二週間たった。
    痛むときは畳の上で5分間だけ横にならせてもらう。
    それでも、杖を忘れて歩き出すことがあるから、
    やっぱりそれなりに回復をしているのだろう。

    「リトル・フォーレスト」夏を観た。
    身体で味わい、身体にじーんと沁みて来る映画だった。
    夏だった。
    山間の限界集落。そこでの農業を二十歳ぐらいの女性が独りで生業していた。
    育った稲の中で、果てしない草取りを腰をかがめてやっている。
    帰ったら蒸し暑い部屋を乾燥させるために、まきストーブに火をつける。
    からからに乾かした後で、そのおきを使って、パンを焼く。
    こんがりと焼けたフランスパンに自家製ジャムをぬってほおばる。笑顔。

    甘酒は簡単だった、お粥にパンのイースト菌を混ぜて、一晩寝かせる。
    翌朝、味見をすれば、上等な甘酒の誕生だ。
    その甘酒がたくさんできたので、分校の後輩の青年を家に招く。
    その夜は甘酒を飲み、そのまま蒸し暑さの中で。

    ウスターソースも自家製だった。
    亡くなった?母から教えてもらった手法だった。
    それは彼女にとってのこの世でのウスターソースだった。
    ある日、スーパーでブルドックソースを観て、驚いた。気が抜けた。

    くこの実だったか、採って食べた。
    渋い。苦い。まだまだだった。しかし、時期を過ぎると甘くなりすぎる。
    この実を使ってジャム造りに挑戦した。
    よくよく煮詰めて砂糖をたっぷりと入れる。
    またまた煮詰めて、水の中にぽとんと一滴落とすと、玉になる固さだそうだ。
    それを、晒して裏ごしする。
    みんな道具は、食べるために長年使いこなされた道具だった。

    あの青年は、都会から帰って来た青年だった。
    「町に暮らしていたら、うわべだけの言葉ばっかりで嫌になった」
    「この村の人たちの言葉は、身体から出る言葉だ」
    「ここでは、ちゃんと食べるためには、自分でちゃんとしてやらねばなんね」
    イワナを食べる時は、自分の手の上で、そのイワナの腹に包丁を入れて裁いた。
    それを、食べる。

    ここに生きている人たちは、そうして自分の手で造ったもので、生きていた。
    そして、そのいのちをしっかりといただいて、身体と言葉とを造っていた。
    ただ、ただ、単調なる繰り返しであるかもしれない。
    しかし、その生業の働きに、何だか生きることそのものの豊かさを感じられた。

    生きるとは、このいのちをいただくことだ。
    そんな想いで、私は、実際、食べていない。
    それは、食べるものが、私の手を経ていないからだろう。
    手作りで、丹精を込め、気持ちを込め、願いを込めて、造っていないからだろう。
    人工物・加工物・何だか、自然そのものと離れた形だけのものを、
    私は、毎日食べているのかもしれないなぁと、感じた。

    彼女は、都会で男と暮らした。
    しかし、やっぱり、それなのに、この山間の村に帰り、農を生業としている。
    それも、たった独りでだ。
    風の音だけの夜に、独り黙って読書する。

    ああ、こんな生活してみたいなぁと、ふと想った。
    しかし、私のようなやわで、生きる知恵も技もない男が、
    こんなところで生きられるわけはないとも、寂しかったがそう感じた。

    何だろうねぇ。人間としての生業を、いつから人は忘れてしまったのかね。

    「リトル・フォレスト」秋は、4月28日にBSで観られる。

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