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from: クマドンさん
2017/06/16 05:51:49
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そして、今も。
昨日、4年生の国語の教科書に載っている「走れ」を読んだ。
子どもと向き合って、その物語を少しずつ読み深めながら。
母と、4年生の女の子と2年生の男の子の話だった。
お父さんは病気で亡くなり、母独り、駅前の仕出し屋さんを切り盛りして生きていた。
運動会になると女の子は、憂鬱だった。いつもびりになるからだ。
ところが、弟のけんじは、ダントツの一等賞。
でも、母には見には来てもらえない。
運動会や遠足など、学校の行事の時には、弁当屋さんは大忙しだからだ。
今年の運動会も、母はけんじの走りに間に合わなかった。
母がかたで息をしながらグラウンドに来たとき、すでに、もう終わっていた。
彼は、ダントツの走りを今年も母に見てはもらえなかった。
母が来れなかったわけがあった。
出かけに30個の弁当の注文が突然来たからだった。
その弁当を作らねば・・・。そして、けんじのレースの時刻は近づいた。
母は、けんじのための特性弁当をこしらえた。
けんじはそんな母の気持ちに反発し、
「こんな店のものなんか、食べたくない」と言って、飛びだして行った。
母は、哀しい気持ちでお握りを食べた。
すると、箸入れの紙に母のかちがちの字で、
「けんじ、がんばれ」「まさよ?がんばれ」と書かれてあった。
母は、弁当を作りながら、心の中で応援していたのだった。
そしたら、私は、亡くなった母のことが思い出された。
いつもそうだったなぁ。
運動会の朝は、はりきって弁当を作っていた。
何だかいつもとは違った朝のような感じがした。
私は、決して足が速い方ではなかった。
徒競走で一等何かとれるとは想ってもいなかった。
でも、母は、身体いっぱいで、思いっきり、声を張り上げ、
声援を送ってくれた。
その母の「兄ちゃん、がんばれ」の声が、
その瞬間に聴こえた。
私は真っ白な短パン半袖の小学生になった。
私は、走っていた。
その背中を母の声援が、風のように押してくれた。
私は、涙が溢れて止まらなくなってしまった。
彼と向かい合いながら、私は涙が溢れ、頬をつたった。
すると、彼の目も赤くなっていることに私は、気付いた。
私は、本当に、母に、愛されていたんだなぁ。
そして、お姉ちゃんが、走った。
身体が重くて、どんどんみんなに置いて行かれる。
もう駄目だ。走れない。
その時だ、「姉ちゃんがんばれ」と、
母とけんじの声が聴こえた。
すると、とたんに足がぎゅんと出て、どこまでも走れる気がした。
「ラスト」だとゴールで言われた。
でも、そのことが、今年の運動会では「ほこらしく」感じられた。
何だろうねぇ。
声を限りに応援できるのは、家族なんだな。
亡くなった母は、そうやって私のことを育ててくれた。
私は、だから、いつも母の眼差しと声とを背中に感じたんだ。
そして、今も。-
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