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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2017/06/21 06:07:32

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    ストラスバリウスの奇跡とは

    バイオリンの名器、ストラスバリウスは、世界に600丁もあるという。
    私は、そのことを知って驚いた。
    もっともっと少ないのかと想っていたからだ。
    そうすると、この職人のただならぬ天才ぶりがうかがえる。
    600丁も傑作を作り続け、
    今もなお世界中の名演奏家によって演奏され、
    その響きや音色は、世界中の音楽愛好家の心を感動させている。
    たったあの小さな楽器がだ。

    ストラスバリウスの音は、ストラスバリウスがこの世に誕生するまで存在しなかった。
    このバイオリンの響きは、この名器だけが奏でられる倍音をもつという。
    つまり、どうしても他のバイオリンでは出せない音があるとのこと。
    すごいものだと、感服させられる。

    彼が、この世に誕生し、彼がバイオリン職人となった。
    きっと彼には、名工と呼ばれる師匠との出会いがあったことだろう。
    ただし、彼が彼の独自なことは、
    その音ではない、もっと豊かで妙なる音を求めたことだった。
    そこに、自然の機微が関与している。
    彼がきっとバイオリンの材料とした樹木は、
    その素材そのものが天与の逸材だったのに違いない。
    それを彼には見抜く目を持っていた。

    その自然の恵みをバイオリンの形にする。
    そのプロセスで、きっと奇跡が幾度も幾度も起きたのに違いない。
    超えるということは、未だ現れずということである。
    そして、それは、ここには存在するが、見えず、聴こえず、感じられずと、
    在ることが分からない、でも、存在するものそのものの音だった。

    きっと制作する途上で、彼は、その音に魅せられ、その音だけを求めたことだろう。
    まだ誰も聴いたり、感じたりしたことのないその神の音を。
    天は、彼を選び、彼はその使命に従い、渾身の想いで制作に打ち込んだ。
    そして、とうとうこの名器がこの世に誕生したのだった。

    在るのに、それは彼が登場するまで、この世には存在できなかった。
    彼のストラスバリウスという名のバイオリンが息づくことで、
    私たちは、聴くことの出来なかった妙なる神秘な音色を聴くことができる。
    それが、奇跡。
    奇跡とは、見えない、聴こえない、感じない神そのものの現れだ。
    それを芸術家と呼ばれる人たちは、この世に成し遂げてくれる。

    ただし、この奇跡には、このバイオリンの命を活かす、
    名演奏家の存在が欠かせない。
    私が持っていたところで、ただの騒音を出す木箱にしかすぎないからだ。
    ハイフェツが弾く。
    そこで、その奇跡はこの世のものとして露わとなる。

    しかし、ここにも欠かせないものがある。
    それは、その音を奇跡の音と感じ、魂を震わせ、涙を流せる、
    そんな聴き手が居なければならないんだ。

    ここに在るものは、たった一つだ。
    ストラスバリウスの素材である樹木も、それを育てた大地も水も空気も。
    ストラスバリウスの師匠も、彼自身の生涯も。
    その名器を奏でることのできる天才をもった演奏家たちも。
    そして、そのものを聴きとり、感じ取れる聴衆もだ。

    全ては、一つの奇跡があるのみだ。
    600丁のストラスバリウスは、そのたった一つの音の奇跡を、
    この世に露わにするために存在している。

    この世には、奇跡しかない。
    まさに奇跡に充ちている。

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