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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2017/09/12 06:23:10

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    いちばんえらいひととは

    世の中は、「どんぐりと山猫」だらけだなぁ。
    これが日曜日に「賢治の会」で感じたことだ。

    この物語を改めて読んでみた。
    私もきっといろいろな人生を経て、
    少しは深くなったのかとも想う。
    見え方や感じ方が、変わっていることを感ずる。
    特に、この賢治の物語を読むたびに、
    自分の中での新たな発見・気付きに驚いてしまう。

    山猫の馬車の御者である別当が登場する。
    一郎に判読不明な、へんてこな手紙を書いた人だ。
    彼は、人だった。
    そして、片目で、足が不自由で、知的にも障がいをもっている。
    きっと世に中では馬鹿にされ、相手にされず、片隅に追いやられている存在だ。
    しかし、この森に居場所が在り、山猫の家来になって働いている。

    一郎は、とてもとても心の優しい少年だ。
    森に入った途端に、栗の木や滝や栗鼠に呼びかける。
    すると、栗木も滝も栗鼠も、その声に応答し、
    山猫が馬車を駆ってどっちの方向に走り去ったかを教えてくれる。
    物語が始まった途端に、森の中の賢治の世界だ。

    別当が恥ずかしそうに、葉書のことに触れる。
    一郎は、その別当の気持ちを察して、褒めてあげる。
    褒められたことのないだろうこの別当は、
    本当に嬉しそうに笑う。
    そんなほんの細やかな場面が、裁判の前に設定されている。
    すーっと読み過ごす場面でもある。
    しかし、この場面こそ、賢治が伝えかった本当なのだと、私は悟った。

    「このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないのが、
     いちばんえらいとね。ぼくはお説教できいたんです。」

    どんぐりどもは、この言葉を聴くと、さーっと水がひくように黙ってしまった。
    「それは、俺だ」とは、誰も言わない。
    「だから、俺が一番なんだ」とも、誰も言わない。
    まぁ、独り威張っているのは、山猫だ。

    本当に賢治の物語には、よくよくこの山猫のような人物が登場する。
    市長・役人・警察署長・質屋・校長先生・サーカスの座長等々、
    世の中によく存在している「俺が、俺が」の人物だった。

    でも、そこには、あの「裸の王様」に登場した少年のような、
    純粋で、無邪気で、自然そのもので生きている少年も登場する。
    そして、彼の一言こそ、山猫をぎゃふんと言わせる一言となる。

    私は、よく山猫と遭遇する。
    向こうは勝手に、私のことを敵とみなす。
    「こいつはどうも生意気で気に入らない。」
    「ちょっといじめて、凹ませてやろう」とね。
    そうした人に遭遇すると、何だかどんどんやっつけられている私を見つける。

    そんなふうには想っていないし、
    そんなふうにもしようとは想わないのに、
    「きっとこいつは、こんなことを考えているに違いない。懲らしめてやろう」だ。
    そう考え、人を悪意にとって来るのは、
    その人自身が、そういう人だからだ。
    狡猾な人。猜疑心のある人。威張りたい人。人を馬鹿にする人。
    きっと自分がそうだから、私もそうなんだと勝手に想いこまれる。

    挙句の果てには、「あんなやつ、やっつけてやる」と、やっつけられた。

    きっと賢治もそうだんだなぁ。

    そして、気付いた。
    「どんぐりと山猫」は、この世界そのものなのだと。
    人が欲得で造ったこの世界には、俺が、俺がの人間ばかりだと。
    賢治は、だから登場させている。
    身体が不自由で知的障がいのある別当を。
    きっと友達も居ない独りぼっちの一郎と言う少年を。
    実は、本当に偉いのは、
    この弱さと愚かさと独りぼっちを知る人なのだと。
    少年の純真な魂を持ち続け、森の悉皆成仏たちと応答しあえる人なのだと。

    この題名は、賢治の得意な比喩であり、皮肉なんだ。

    本当の題名は「一郎と別当」なんだな。

    どうしてかって?

    本当にいちばんえらいひとは誰かって、ちゃんと仏様が言っているからだ。
    ここには、ちゃんと「法華経」の教えが生きている。

    やっぱり賢治だなぁ。

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