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from: クマドンさん
2018/01/10 06:24:42
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独りを味わう
「偶然的なことが、絶対的であるという原点に気付いていると、
自分の人生に言ってみると、腹が据わるんですね」
「心にできた襞屋や翳は、肉体に刻まれたものだ。
これらの陰影があるからこそ、
人生はおいしくなるのではなかろうか。
肉体でもあるところの我々の人生の、
地上的な人生の、
その味わいなのではなかろうか。」
昨夜は、仕事で疲れたのか、酒を飲んだら眠くなった。
9時でも、早くても、眠ることにしている。
それは、「養生」だからだ。
録画の「ウイーンフィルのニューイヤーコンサート」を観た。
音楽はいい。ウイーンフィルはいい。
シュトラウスはいい。
音楽を楽しむ。音楽を味わう。それは、私とっての至福の時だった。
「味わう」ことについて、考えることが多くなった。
というよりか、まず、「味わう」ことだ。
考えるのは、その後、言葉もその後でいい。
そこに浸る。そこに我を忘れる。味わう時の没我かな。
すると、きっとその「味わった」ことが、
私の身体になっているはずだ。
今朝、大荒れの朝だった。
雷も久しぶりになった。
横殴りの雨と風。
でも、この音を「味わう」こともできる。
すると、身体から蘇って来ることは、
同じ大荒れの天気の、あの日であり、あの時だった。
「味わった」ものは、身体に沁みこみ、忘れられないものだ。
いつの間にか、私の深層なる無意識の世界に沁みこみ、
それは、やっぱり翳や襞になっているのだ。
人は、そうやって実はちゃんと自分の人生を「味わって」生きている。
朝、三時過ぎに目が覚めた。
気持ちよく早く眠ったせいだった。
夢の中で、私は、あることに気付き、小さな感動を「味わった」。
ある人がそこに居た。
私もここに居た。
でも、ある人は、私であり、私もある人と同じなんだと、感じた。
「ああ、同じところから生まれたんだな」
「みんな同じものの顕れなんだな」
「ということは、違っているように見えるだけなんだな」と。
「万物斎同」という言葉が、ふと想い出された。
「ああ、こういうことだったんだな」と、安堵したら、目が覚めた。
すぐにその夢は、無意識の向こうに去って行ったけれど、
その夢は、どこから私にやって来た物語なのだろうか。
そんな、「夢」も味わうに値すると、想える歳に私はなった。
この天気と、朝の闇とを感ずると、
想像するのは、あのN大の病室から眺めていた、
白山駅周辺の街並みの夜景だった。
静かに平日の朝が明けるのを待っている家々。
そこに微かな灯りがともに、
そこには、いつものような普段通りの生活が始まろうとしている。
私は、ベットから立ち上がり、窓辺によって、それを見降ろす。
どんな生活がそこにあるのかな。
どんな家族が暮らしているのかな。
独りぼっちの人もきっとあそこにいるよな。
それでも、みんな同じ朝が来る。
あの人たちには、行くところも、仕事も、約束も、責任もある。
人は、そんな中で、せっせと今日一日を生き始める。
始発の電車が、灯りを連ねてホームに入る。
乗降するお客の姿は、まだまだまばらだ。
私は、その景色を、病室の窓から見下ろしていた。
「神の視点」。
今日一日、独り独りの皆さんに、幸いのあることを・・・・。
そうやって、きっと私も、毎日、見守られていたのだと、感じながら。
退院は、まだまだ先のようだし、身体の回復どころか、
お腹に5本もチューブが通されている。
点滴の管と点滴棒が私の御供で、
それでも、深夜に目覚める習慣は、その時に着いた。
個室で痛みと寂しさに耐えかねて、夜中に目覚める。
それから、時計を見ると、まだ夜中の2時、3時だったりする。
それからの夜が、長い長い。
熱が下がらずに難儀していた時は、もっとその辛さは深かった。
だから、少しでも動けるようになったら、
動くことにした。
ベッドの上でのストレッチ。
そこから、私の「養生」が始まった。
そのことを、この嵐の真っ暗な夜明け前の私は、思い出した。
今は、そのことのおかげで、今、ここを楽しむことを覚えた。
できることは、どんなことでも「在り難い」ことだからだ。
その「ロス」「喪失感」を「味わった」人にだけ、
この平凡で、単純で、何事もない素朴なる日常の、
その今、ここを生きることの、楽しさが「味わえる」。
味わうのは、独りなんだから、
独りで在ることは、とてもとても大事な生き方なんだな。-
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