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from: クマドンさん
2018/02/12 09:03:26
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車が埋まった。動かない。
昨日、教会の駐車場を出る時、すっぽりと車が雪にはまった。
前輪が溝に落ち込み、車体の下に固い雪の塊だった。
鉄製のスコップを車に積んでいて助かった。
私は、松浜でKさんと会う約束をしていたので、
その約束の時刻に間に合わねばと、必死だった。
かきだせども、かきだせどもだった。
焦っては駄目だ。
本当に根気強く、粘り強く、
この車体とタイヤの前の雪の塊を掘り出さねばならない。
すると、そんな私を見かねたのか、
隣の家の40代位の男性が、スコップをもって現れた。
「除雪がね、酷くてね」だった。
彼は、黙って一緒に雪をかきだしてくれた。
少し前が空いたので、一気に出すことにした。
彼は車の後ろに回って、力一杯車を押してくれた。
何度か前後に揺れた後、車は一気に脱出できた。
「ありがとうございます。本当に助かりました」
車から降りて頭を下げると、
彼は、笑顔だった。
困った時、こうして助けてもらえることの在り難さだった。
そして、今朝だった。
新聞配達を終えて帰宅した、次男だった。
下でやけにタイヤが擦り、空回りする音がした。
ああ、昨日の私だと想い、次男の救出のために、
さっそくオーバーズボンとヤッケ、帽子と手袋で、
5時半の真っ暗な小路に出て驚いた。
雪がどっと積もっていたからだ。
前輪がすっぽりと雪の中だった。
凍った雪の上に、新雪が積もっているので、
いくらタイヤを回して頑張っても、深く潜るだけで、抜け出せはしない。
昨日の私だ。
まず前輪前の雪かきと、バンパー下の雪のかたまりを、かきだした。
しかし、早朝の低温のために、雪は固く凍り付き、
なかなか手ごわい感じだった。
前後の雪を除けるのに30分以上かかった。
それで、やっと押して動かしたら、
また横の雪の壁にすっぽりとつかまってしまい、
身動きができなくなった。
そのうちに、私は疲れて、腹が減って、めまいを起こした。
力が出ない。
いくら車を押そうとしても、力が出ない。
へとへとになり、とにかく次男の馬力に任せた。
そんな苦労を見ながら、
その横を犬の散歩で通って行く、知り合いの男性がいた。
立往生して困っていることを感じても、
彼は、止まらない。声もかけない。通り過ぎた。
そんなもんなんだな。
それも人だよなぁと、ふと寂しくもなった。
そんな格闘を1時間も続けた。
やっと抜け出せた次男は、大通りに面した駐車場に止めに行った。
それから、私は、雪除けのボランティアだった。
4件の家の玄関から、道路までの雪除けと、
ゴミ捨て場までのアプローチだった。
「えい、ままよ」と、へとへとになりながらも一気にやった。
何だろうね。
この身体の中で眠っている力のようなものを、
こんな朝には、ひしひしと感ずる。
この力は、自分のためだけの力ではないようだ。
誰かの為に、困っている人のために、
その力を働かせるとき、思いもかけないパワーを発揮する。
それが、人の奥深い凄さなのではないかと、
へとへと、ふらふらになりながら、
スノーダンプを持って、町内を歩きながら、そんなことを想っていた。
人とは、本来、人のために生きることを、
その身体はちゃんと知っているのではないだろうか。
誰かを助ける時の、誰かの為に全力を出している時の、
そのパワーは、確かに自分をずいぶん超えている。
「へぇ、こんなに力がまであったのか」という驚き。
その無心で、雪をかきだしている時、
深くに通じて生きている自分のことに気付き、
ある意味、喜びを感ずる。
自分のためでなく、誰かのために。
そこに、本来の人の生きる道があるのではないだろうか。
それを感じたら、ただそのまま動けばいい。
困った人を横目に通り過ぎるのではなく、
「どうしましたか。何かお手伝いしましようか」と、声をかける。
実際に、スコップを借りて、雪を一緒にかきだす。
車を押す。雪を除ける。
あの彼は、自分の車が雪に埋まったことはないのだろうか。
雪に埋まって動けなくなり、
誰かに助けてもらったことはないのだろうか。
何だか、何事もなく、犬と一緒に去って行くその人のことが、
「へぇ、そうなのか」と、寂しくも感じた。
風が出て来た。
暗くなった。
今日は1日、大雪になるとの予報だ。-
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