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from: クマドンさん
2018/07/09 14:05:40
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本物と作り物
またまた、激動の数日間だった。
いつもいつも何かと出会い、感じ、考えている。
そのことが何だか面白くなってきた。
こうしてここで生きていること、歳をとっていくこと、
その一つ一つが楽しみでもあり、味わいでもあるような気がする。
ある舞台を観た。
それはそれは期待して観に行った舞台だった。
しかし、途中で劇場を出たくなった。
何だこれは。これでいいのか。の世界だった。
訳が分からないならまだいい。
この勝手な思い込みと、余計な作り直しとに、
何だか腹もたってしまった。
いったいぜんたい何のためのこの舞台なんだろうか。
らしく観せても、作り物はしょせんやっぱり作り物。
じーんとか、どーんとかと、感じられるものが全くなかった。
本当に、これでいいのか・・・・。だな。
帰りに「鳥の歌」に行った。
このお店ももうすぐ移転する。
ということは、このお店のカウンターやあのテーブル席で、
もう飲めないということだ。
そんなことを想うだけでも、寂しくなるなぁ。
そこで、偶然にN教会で一緒だったSさんと出くわした。
64歳だと言っていた。
今は、新発田の教会で数名の礼拝を守っているそうだ。
私の教会での結婚式にも出席してくれた人だった。
大杉栄の映画を自主上映したいとの話だった。
彼の瞳の輝きも、大杉栄のようだった。
不思議な出会いだ。
人生とは、そんな不思議さに満ちている。
その不思議さを感ずるためには、少し長く生きてみることだ。
再会を約束して、私は、別れた。
シネウインド 映画「フェリーニを探しに」
映画が始まってから、ずっとずっと涙だったな。
何だろう、映画好きなわたしが喜んでいたし、感動をしていたな。
ずっとずっと私は、その映画の世界に入り込んでいた。
まさに、愛するピュアな少女ルーシーと一緒に旅をしていた。
ルーシーになっていたし、その母にもなっていた。
時には、ザンバーノであり、ジェルソミーナであり、
ピエロだった。
あの台詞はいいな。
「こんな小さな小石にも、ここに置かれた意味はあるんだよ」
「あの星たちも同じさ」
「そして、ジェルソミーナ、君もそうだよ」
ルーシーは、ジェルソミーナだった。
そして、世間知らずな映画好きな20歳の彼女は、
突然、フェリーニに会いたいと想い、イタリアに向かう。
ああ、抱きしめてあげたいほど、ルーシーは可憐で可愛い。
まさに、「半分、青い」の鈴愛ちゃんそのものだな。
ピュアであること。真っ直ぐであること。感じ続ける魂であること。
彼女のミラノやローマ、ベネチアでの冒険と出会いとは、
何と素敵な夢と現実であることか。
ラストの映画館もいい。
画家の青年とカフェオレを飲むシーンもいい。
何故だか、自然と涙が流れる。
泣いている。
私は泣いていた。時には、声を噛みしめて、ぐっと泣いた。
その後、昔の同僚たちとの飲み会があるというのに。
私が、感動していた。
映画が終わっても、席を立ちたくはなかったな。
ずっとルーシーとここに居たかったな。
それが、作り物と本物との違いだった。
その違いは、魂がちゃんと感じ取り、反応してくれる。
私は、涙を流す私を感ずる。
「ああ、わたしが喜んでいるなぁ」だった。
私は、腹を立て、憤っている私を感ずる。
「ああ、作り物。偽物だなぁ」だった。
鳥の歌のHさんが、私は大好きだ。
高校時代から、きっと私はHさんに触発され、影響されての今の私だ。
新発田の教会のSさんもそうだった。
30年ぶりの再会であっても、大杉栄を熱く語れる彼。
ああ、ここにも本物の人が生きているなぁだった。
人にも、作り物と本物がある。
できれば、余命僅かなのだから、本物の人とだけ出会いたい。語り合いたい。
そして、本物の表現にだけ感動したい。
偽物や、作り物や、魂の入っていない張りぼては、もういいなぁだった。
鳥の歌がもうすぐ消えてしまうように、
私が出会った本物と偽物ももうすでに、遙か彼方となっている。
私は、どうなんだろうか・・・・。
本物になれるのだろうか。
でも、その本物との出会いに涙し、感動できる私を、
偽物の作り物に腹を立てられる私を、
まだこうして感じられる内は、それでいいんだと改めて感じた次第だ。-
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