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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2018/09/10 10:04:44

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    雨ニモマケズの石碑の広場

    花巻で私の大好きな場所が在る。
    それが、この建物の建っていた場所。
    今は「雨ニモマケズ」の石碑が建っている場所。
    旧羅須地人協会跡地だ。
    火曜日の少々どんよりと曇った午後。
    そこを訪れる観光客は、私独りだった。

    ちょっと道を間違え小道を下ったら、
    川の向こう、小高い森の下に、賢治さんの畑があった。
    賢治さんは、あそこまで行って、畑を耕し、作物を育て、風に吹かれた。
    「そうか、あそこなんだな」と、そう想うだけで、
    畑仕事の合間に私に気付いて、手を振っている賢治さんだった。

    石碑の前の広場のような場所に立つと、
    こころが何とも静かに落ち着く。
    ここで妹のトシが病のための養生をし、
    賢治さんが、農民たちと音楽や童話や劇を語った。
    全てはすでにここにはなく、
    全てのことは、とうの昔に過ぎ去り、消えた。
    でも、ここに来ると、その声が聴こえる。笑顔が見える。
    見えないからこそ、存在するものは、確かにあるんだ。

    しばし佇む。
    しばし風に揺れる大木の枝の先を見ている。
    黙っている。じっとしている。
    すると、やっぱり賢治さんの童話の世界そのものになる。
    聴こえてくるんだな。
    きっと、賢治さんはここで、山猫やキツネやタヌキやフクロウの言葉を聴いたな。
    賢治さんは、そのものたちが語る言葉を、
    ただ原稿用紙のマス目に目にもとまらぬ速さで書き込む。

    自然に生かされ、自然から信頼された、ライターが彼だった。
    私にもそんな声が言葉が聴こえてこないものかなぁと、
    その薄暗い広場で、私は、音も無く独りぼっちで佇んだ。佇んだ。
    誰もここには居ない。
    何とも贅沢な至福な時間だ。
    人が居るだけで、人が何人も喋りながら通るだけで、
    この森閑とした空気は乱される、ゆらゆら揺れる。
    賢治さんの物語の不思議さが壊される。消えてしまう。

    だから、何よりも独りぼっちでここに居られたことが、とてもとても嬉しかった。

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