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from: クマドンさん
2019/06/16 10:10:19
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映画「ROMA」
あれは南米のどこの国の小都市なのだろうか。
医師の家に雇われている20歳のメードの話だ。
クレオだったかな。
彼女の毎朝の仕事は、犬の糞の掃除からだった。
4人の子どもたち。
まずまず賑やかで、忙しい家だった。
夫である医師は、カナダへ研修の旅だった。
ところが、本当は愛人との長期の旅行。
旅先から、妻には離婚が申し渡された。
真面目で大人しいクオレは、そんな子どもたちの母親だった。
いつも慰めてくれるのは彼女だった。
朝、子どもたちを起こすのも、夜子どもたちを寝かすのも、
彼女の仕事。
それを彼女も子どもたちもとても楽しみにしていた。
彼女は、若い格闘家を目指す男に騙された。
妊娠してしまったことを、彼の住む町に行って知らせた。
「お前も、その子も、もう二度と会いに来るな」だった。
彼女は、解雇を恐れた。
しかし、医師の妻は、クオレにここに住んでいてもいいと言ってくれた。
ベビーベッドを買いに家具屋へ行った。
反政府運動のデモ隊だった。
そこへ軍事政権の手先になった暴徒たちが、銃で市民を撃ち続けた。
その1人を追って家具屋に来た。
逃げた男はその場で射殺された。
その仲間の一人が、彼だった。
その場で破水した。
車が大渋滞で動けなかった。
病院で緊急手術を受けたが、胎児は死んでいた。
クオレは、その子を胸に抱きしめた。
家族で避暑地の海に旅をすることになった。
妻は、彼女を連れて行くことにした。
彼女は、暗い気持ちのまま、海についた。
凄い波だった。
翌日、子ども2人が、波打ち際に遊んでいて、波にさらわれた。
クレオは、泳げなかった。
それでも、子どもたちの名前を呼んで、波の中に入って行った。
二人の子どもは、彼女の腕で助けられた。
浜辺の砂の上で抱き合う、彼女たち。
医師の夫は、この旅行の間に、自宅の自分の荷物を全部持ちだした。
自宅に帰ると、がらんとした家になっていた。
それから、妻は、また仕事に復帰し、小型の新車を買った。
そして、クオレともう一人のメイドは、
また、毎日の仕事を続ける。ただ、それだけ。
映画「ROMA」だった。
優しさと、愛しさとかな。
彼女の無垢で、純な眼差しが美しい。
何気ないどこにでもあるかもしれないお話しだった。
その場に、私は立っていた。
その現実感・臨場感・リアル感が、この監督の映像の持ち味だった。
私は、クオレと一緒に人生の旅だった。
幸せとはいかない。
理不尽な不条理に充ちている。
独りの人間としては、抗えない、ただあるがままを受け入れるだけ。
「どうして・・・」は存在しない。
ただ、「こうなりました」の人生だ。
その中に、ピュアなものが輝いている。
人間としての輝き。
彼女は、その尊い輝きそのものの人として、そこに生きる。
子どもたちの命を救うために、恐れなく、波の中を突き進む。
波で打たれ、倒れそうになっても、前に進む。
そんな健気な姿とそんな勇気に心を打たれた。
クオレは、独りの貧しいメイドだ。
しかし、クオレの生き方は、何だか尊いものに感じられた。
アカデミー賞の「作品賞」「監督賞」「外国映画賞」の作品だ。-
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