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from: クマドンさん
2020/08/22 07:45:09
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「方丈記」は面白い
人に話を聴いてもらうことで、心がほっとすることがある。
本当にどこか深く深くで通じているひとならなおさらだ。
お互いに聴いて欲しいことが、どこか似ていて、共通している。
その人とは、話す前から、安心感と安堵感だった。
それは、全てを受け入れ、共感してくれる人だからだ。
自分の気持ちや感情を先にせず、
いつも相手のそれをおもんばかり、尊重してくれる。
聴くとは、黙っているということだ。
そして、何も否定や批判をしないことだ。
今、世の中で仕事を再開するようになって、
一番のストレスは、「俺が」「俺が」ばっかりで、
相手の気持ちや考えをそのまま聴こうと言う人が少ないことだった。
私は、Sさんといつも電話で話しをしている。
ここ三日間は一日勤務の為にその時間をとれずに残念でならない。
「どうですか・・・今朝のお目覚めは・・・」から始まる。
そこから、Sさんの深夜の闇の中での散策での発見の話に続く。
いつもいつも自然の光や音や色に触発されている彼だった。
その美しさに気付けば気付くほど、
小千谷の大自然の中には、その美しさが無尽蔵に顕れる。
その話を聴きながら、私も庭やかっての登山で感じたことを話す。
すると、Sさんの感動と、私の感動は、共通するものだとの了解だった。
Sさんが心に深く感じたことと、私が日々に感じていることが、
不思議なことに一致する。
本当に「そうですねぇ・・・」と共感できる。
私は、この深く深くで共感できることが、
人と人との出会いでは貴重なのだといつも感ずる。
何故なら、日々の世の中では、イライラと腹を立てることが多くても、
共感できる人に出会うことが本当に希少なことであるからだ。
「この人と、酒でも飲んで二人で語り合いたい」という人は、
私には何人いるのかの「問い」だった。
だから、世の中では、私は、自分を語らず、自分を出さない。
さしさわりなく、とどこおりなく、さらって、そのまま、
かかわりをこちらからは求めず、淡々と日々の業務をこなすだけ。
不具合があり、調整が必要だと思っていても、
それを文書に書いて提出したり、直接言ったりすることもやめた。
小さな折り畳みテーブルの足のがたつきをペンチで直す。
途中で動かなくなってしまった引き戸を直す。
これなら、誰とも話さなくてもいい。
だから、忌憚なく、本心を、そのまま、何も気兼ねなく語れることは、
とてもとても幸いなことと、いつも感ずる。
大抵その人とは、世の中から降りた人であるようだ。
Sさんとよく言う生き方は、
この都会で在り街中であっても、「ポツンと、一軒家で生きること」だった。
どんなに世の中の真っただ中であろうとも、
山中の荒れた細い山道を車で進んだ奥の奥。
そこに独り住んでいる境地で生きる。
そうした生き方をしている人は、確かに何でも語り合える人だったる
せめて、「世の中は」とか、「みんなは」とか、「あたりまえだろう」とか、
言わない人とだけ、せっかく残り少ない人生の時間なのだから、
無駄に使う余裕や気持ちは全く無いということだった。
そういう人の自慢話や、指示・命令、「当然だろう」を聴くと、
今は、身体全体が生理的に拒否をする。
疲れる。嫌になる。あああとため息が出る。だから、かかわらない。
それだけだ。
それが、ポツンと、一軒家で生きる極意でもある。
多くの人の中に居ながら、和せず、同ぜず、独り孤に在る。
語りたい人とは、時間をかけてじっくりと話す。
今は、本当にそうやって選択しながら生きている。
「方丈記」 鴨長明 蜂飼耳 訳 光文社
方丈記を現代文に訳したこの本を、今朝、一気に読んでしまった。
痛快だった。いやいは、「山奥ニート」の大先達だな。感銘を受けた。
その文をいくつか、ここに抜粋させていただく。
「世間に近く住むことがどういうことか、どうなるか、すでに知っているから、
もう何かを望むこともない。あくせくすることもない。ただ、静かに暮らす
ことだけわ考え、余計な心配のないことそのものを楽しんでいる。」
「私は、自分のために方丈の庵を作った。人のためではない。なぜかと言えば、
今の世の中、自分の生き方には、ともに住む人もいないし、頼りにする下僕
もいない。」
「もし、するべきことがあれば、自分の身を使えばそれでよいだけだ。疲れて
しまうこともあるけれど、人を使い、そのために気を遣うよりは、気楽だ。
歩かなければならないときは、歩く。苦しいといっても、馬、鞍、牛、車
などについて、いろいろと思い煩うよりもましだ。一つである自分の身を
分けて、二つの用をさせる。手という下僕、足という乗り物は、我が心の
思い通りに動いてくれる。」
「自分身は、自分の心の苦しみを知っているから、苦しいときは休み、元気で
あれば、使う。使うといっても、度を越すことはない。疲れていて休んだと
しても、それで腹を立てることはない。しかも、いつも歩いたり、動いたり
するほうが、健康にもいい。」
「人に会うわけでもないから、自分の身なりを恥ずかしく思うこともない。
手に入る食料が少ないから、どんなものでも、おいしく感じられる。」
「世界とはいうものは、心の持ち方一つで変わる。」
他にもまだまだここに記したい言葉があるが、
出かける時刻が迫ったのでここまでとする。
読みたい人は、是非この文庫本を一読あれだな。
この長明の言葉に、我が意を得たりと共感できる人こそが、
私が求める友なのだった。-
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