未来が見えるユメールが寿命を削ってでも好きな人の生きる未来を掴みとる話。
まぁそんなあらすじではないんだけどざっくりいうとそういう感じです。
ユメールは力を狙われて幼い頃から王に捕らわれていて、未来を見る力でユーシスが助けに来ると知っていてその日を糧に生きています。
いつかユーシスが助けてくれるって信じて。
その通り助けてくれるんだからそれまで頼れる者が誰もいなかったユメールからしたら、何よりも大事なのはユーシスで。
未来を見るだけで変えることはできないけど、見えてる事実より良くすることはできます。
この先攫われるってわかってて、攫われる事実は変わらなくてもそれを尾行することは可能とかそういう可能性の広がりはあるわけです。
こうした場合はこうなってっていう色んなパターン見えたり。
ただ分岐がないパターンもあるので、ユーシスが死ぬ未来を見てしまってそれを避けられないとなるとユーシスとの約束を破ってでもユメールは自分の寿命を削って未来を変えてしまうんです。
本来なら変えることができない未来も代償を支払えば変えることができるので。
でもそれをすると戦いが終わったら一緒に・・・っていう約束がなくなるわけで。
ユメールからしたら、ユーシスがいない未来なんて考えられないし、自分がいなくなってもユーシスには幸せになってほしいと思ってしまって。
ユメールにとってユーシスは唯一でも、ユーシスにとって自分は先見の力を持つ者っていうだけだろうと思ってるところもあったのでね。
ユーシスは感情を殺すのが上手いし、ユメールはそれまであまり人と関わってこなかったから他の人より察することはできないし。
ユーシスと付き合いが長い人はユーシスのユメールに対する違いに気付いてましたけど。
ユーシスが代償を払ってしまったと知ったときの動揺を隠そうともせず、ユメールに詰め寄ったのが何よりユメールをそれだけ想っていると伝わってきてよかったです。
その場には身内以外の者もいたし、そういうの見られない方がいいだろうに、そういうことに全く取り繕うこともなく、なんならこの先の戦いでさえも参加するのかわからなくなるほど、それほどにユメールを想ってくれているのかと。
二人の気持ちに共感できるし、ファンタジー的な中身も面白かったですし、恋愛的な切なさも程よくとても楽しめる作品でした！