「悔しさいっぱいオリックス」
パウエルを打ち崩せなかったオリックスは、５連敗で借金６。
「二重契約」問題の末にソフトバンク入りした右腕との対決に、試合前からチーム関係者の鼻息も荒かったが、再三の好機であと１本が出なかった。
コリンズ監督は「パウエルは良かった。だからこそわれわれも獲得しようとしていたのだが…」と悔しそう。
「コメントしない方がいいだろう」と言葉を濁した中村球団本部長も、終始険しい表情だった。
（時事通信）

「ソフトバンク・パウエル粘投、５６０日ぶり勝利」
「ぼくのキャリアの中でも一番の勝利」。
重圧からの解放感が言葉ににじみ出た。
今季初登板のソフトバンク・パウエルが契約問題で紛糾した因縁の相手から白星。
巨人時代の２００６年１０月３日以来、５６０日ぶりの勝利投手という以上の重みがあった。
立ち上がり、体重移動がうまくいかないところをつかまった。
二回にカブレラ、浜中と浴びたソロ２発はいずれも真ん中付近への力ない球。
ただ、修正した三回以降はバックの好守にも助けられ、六回まで再三のピンチを無失点で乗り切った。
近鉄、オリックス時代を通じて５年間、慣れ親しんだ舞台とはいえ、プレッシャーは隠せなかった。
グラウンド入りした瞬間に相手ベンチをにらみつけると、次第に首筋も紅潮。
チームメートを寄せつけないほどの強い闘争心をあらわにした。
スタンドからは「ゴー・ホーム！」など容赦ない罵声（ばせい）も飛んだが力で封じ込めた。
「これでホークスの一員として前に進める」。
契約問題がこじれた１月２９日以来のわだかまりにも終止符を打つ、９３球の粘投だった。

◆ＭＫ砲２ラン共演
ソフトバンクの松中、小久保のＭＫ砲が通算３０度目のアベック弾。
六回に同点２ランを放った松中に刺激を受けたのか、八回には小久保も２ラン。
小久保が「同点弾で流れが変わった。オレのはおまけ」と持ち上げると、松中は「そう言ってもらえるとうれしい」と目を細めた。

（読売新聞）