「近藤が８回無失点！Ｖ阻止し９勝」
感情を開放することが、近藤の自己コントロール術だ。
４点リードの７回、２死から高谷に四球を与えると、思わず叫んだ。
「何やってるんだって。気が抜けてしまわないように」自らに活を入れた。
続く仲沢を三ゴロに打ち取ると、今度は満面の笑みがこぼれた。
自己最多の１５０球で８回を６安打無失点。
マウンド上で怒り、笑ってつかみとった９勝目だった。
近藤が１０勝にリーチをかけたことで、小松の１４勝、山本、金子の１０勝に続き、４人目の２けた勝利投手が出現する可能性が出てきた。
「２けたカルテット」が結成されれば、オリックスが初のリーグ優勝を果たした９５年の平井、長谷川、星野伸、野田以来、１３年ぶりの快挙となる。
次回登板予定は１０月１日の本拠地、京セラＤの今季最終戦。
清原の引退セレモニーが行われる大一番だが「めったにないチャンスなんで、プラスに考えていきたい」と、いたずらっぽく笑った。
大石監督も「よく投げましたね」とその快投を称賛。
チームは初のクライマックスシリーズ（ＣＳ）進出へのマジックを３に減らした。
近藤も「目指しているところはＣＳなんで。ほかのことは気になりません」と、まだまだ気を抜かない。
オリックスにとって、若き右腕の成長が何より頼もしい。
（スポーツ報知）

「オリックス 10年ぶりシーズン勝ち越し」
オリックス・大石監督も「特別な人」と尊敬するソフトバンク・王監督の本拠地最終戦ながら、プレーボールがかかれば「考えなかった。集中してました」と勝利を何よりも優先する。
その思いは８回無失点の近藤も、先制本塁打に貴重な犠飛も放った北川も、さらに貴重なタイムリーを決めた下山も、チーム全員が共有するものだった。
大石監督が現役時代、オフのイベントで王監督と接した際には打撃理論の教えを請い、今でも「選手に『王さんは、こうしていた』と伝えることがある」。
そんな恩義も含め、オリックスが勝つことは、ソフトバンクだけでない“王遺産”の存在を世に示す意味合いもあった。
４対１。
「今日は、ピッチャーは若いけど、打つ方は年寄りが頑張ってくれましたね」と大石監督。
これで西武を除くすべての球団に勝ち越し、シーズン勝ち越しも１０年ぶりに決めた。
ＣＳ出場マジックは「３」だ。
スタンドのほぼすべてを敵に回しての勝利に大石監督は「選手はすごい。自信を感じた」と、また強くなったチームに、実りの秋への手応えを感じていた。
（デイリースポーツ）