磯の魚が
眼を見開き
暑さに息絶える

灰色の墓標
葬送を奏でる
高層マンション

墓場の底から
辿り着く風

ただ生暖かく
呼吸困難に陥る

雑踏に漂う
鼻をつく独特の生臭い異臭

沸点を越えた
生き物達が
腐り出している
芯を貫く
鈍い暈に
息苦しさを感じ

埋立て造られたまち
アスファルトに蜃気楼が浮かぶ

碧い蒼い海があった頃


我が身を焼き殺す
真夏の恋に陥ったなら

海水に身を委ね
熱い身体を冷まし
生きのびていた



今はもう
海は遠い彼方

入江の海水さえ
生暖かく淀み

身を預ける
浜さえ…彼方


彼岸の入りを迎えるまで

落ち着く場所のない
焦がれる魂



白昼夢の如く
走馬燈のように
流れる色のない景色

終わりなき灰色の世界

抜け出したい…
助けて欲しい…
誰か水を下さい…