「Re:バイロイト日記２０１０」

　バイロイト祝祭劇場の写真を見ているとあの美しい建物、前庭の花壇、両サイドの緑の公園、更に丘を下って雑木林、等々が浮んできます。
　劇場の裏には大きな練習場や倉庫が建ち並び、その奥に駐車場がある。
　ついこの前のように思い出しているけれど、もう長い年月バイロイトには行ってないので懐かしさだけだ。
　劇場正面の２階バルコニーから開演を知らせるファンファーレが３回鳴り響く。１５分前、１０分前、５分前。
　三澤先生が日本に帰ってからの演奏会では、バイロイトに習って３回ファンファーレが鳴っていたけれど、今でもそうかしらん。
　左右の横からしか入口が無いから、中央の席の人が先に入らないと立って待っていなくてはならない。
　ファンファーレを吹く楽員は祝祭歌劇場のメンバーかと思っていたが、２度目のバイロイト詣での時、あれは地元のアマチュア・オケの方達と聞いた。
　短いファンファーレだけれど多くの人がバルコニーの下に大勢集まり聴き入り、大拍手をして入場する。
私はたいがい３度聴いて入った（＝入口近くの悪い席）。

　ワーグナー記念館（バーンフリート）には劇場の模型が置いてあり、地下の穴蔵にオケピットがある。客席と舞台の間は１メートルくらいの隙間があり、半円形の衝立が巡らされている。
　指揮者は肩から上を舞台から見えるようにして指揮しているのだろう。
　客席からは全く見えないから、劇場の明かりが全て消え、暫くすると音楽が鳴り出す。
　地下の穴蔵では弦楽器が前面にあり、金管は奥に配置されるので、多少強く吹いても客席には普通に聞こえるのでしょう。
　その地下の音が半円形の衝立にあたり舞台に広がり、歌手の声とともに客席に聞こえてくる仕組みになっている（時にズレが生ずる）。
　普通の劇場のオケピットから直接聞こえてくる音はトゲがあるような音がするけれど、バイロイトでは独特のサウンドに仕上がって聞こえてくる。

　ホテルから劇場に向かうときは、ホテル提供の座布団を持ち、扇子を持ち（劇場内は非常に暑い）、そしてシャンペンを一杯飲んで送迎バスに乗り込んだ。

　懐かしさで一杯になり、死ぬ前にもう一度行きたい。