【全体主義国家・韓国】

　ノテウ大統領の行動は、全体主義国家のそれと驚くほど一致する。韓国はもはや全体主義国家になったと言っても過言ではないのかもしれない。

　ノテウ氏にとっての「運動」と「方向」は、いうまでもなく「祖国統一」である。その為に、自分個人も韓国も犠牲にして構わないと思っているのであろう。たとえその為に韓国が甚大な被害を受けたとしても、数百年後の歴史は、ノテウを統一の英雄として記するであろうから。

　もはや国家転覆を考える「親日派」など存在するはずのない現代に、先祖に遡って過去の行動を弾劾するなどという、およそ近代国家のすることとは思えない行為も、「客観的な敵」の制定という全体主義国家の特性としてならば理解できる。ナチスドイツもまた、敵対者がいなくなったのちにこそ、暴虐の限りを尽くせたのである。

　自分達が信じていることを強引に主張し、現実や証拠といったものを侮蔑する態度、これまさにナチやスターリンと同じものである。歴史認識問題における韓国側の「討議不能な態度」はまさにこれである。

　とすれば、そもそも中国や韓国には全体主義的な体質があったのではないか。明治以降の日本との関わりを持つ以前からそれはあったのかもしれない。全体主義と中国系専制政治には、共通点が多いのかもしれない。そう考えれば、日清戦争以前の日本と清・朝鮮との不毛な交渉のことも理解できる。

　そして全体主義国家は、外からの破壊以外に、全体主義から開放されることはないのだというハンナ・アーレントの指摘を、その後の両国の歴史は証明している。