意外にしぶとい北朝鮮

国民経済が破綻すれば、国家も崩壊するというのは、
近代国家の常識であって、古代国家の常識ではない。

東ヨーロッパ諸国とは違って、北朝鮮は飢餓ぐらい
のことでは崩壊しないだろう。

いまの状態を末期的だと考えるのは、欧米の常識に
我々も染まってしまっているからである。

北朝鮮、というよりは朝鮮という地域においては、今
の北朝鮮のような状況は、そう珍しいことではない。

李朝下における貴族と平民の関係と大差ないのだ。

ヒデヨシの軍隊は、ソウルの奴婢台帳を焼いた。

ということは、奴婢をそんなにも抱える王朝だったと
いうことでもある。

だから、北朝鮮に早期の崩壊を期待するのは無理だろう。

この体質は、じつは韓国にもある。

韓国が現在のようになり得たのは、朴正煕氏によるクー
デター政権以降の親日政策によるものである。

ということは、北朝鮮に政権打倒の可能性があるとすれ
ば、それは韓国同様のクーデターしかない。

しかし、北朝鮮の軍部は、当時の韓国ほどには、政権に
対する勢力とはなりえまい。文民・軍人の混成だった韓
国と違って、金日成以来の粛清によって磨き上げられた
国家だからだ。

可能性があるとすれば、息子によるクーデターである。

これまた、古代国家的なものである。