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from: 一久さん
2009年02月21日 07時08分19秒
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女工哀史考
最近ようやくマルクス・エンゲルス関係の本を読むことに着手したのだが、そ
のなかのどこかに、どこの国においても、資本主義の勃興期に女工哀史が存在
し、かつ消えて行くという文章をみかけた。
その理由についての説明は文章の量も内容も十分ではないように思われたので、
自分なりに考えてみることにする。
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女工哀史 - 農村潜在失業者という視点 -
近代資本主義以前の時代には、農村は大量の潜在的失業を内在させている。
水飲み百姓の抱える扶養家族、とくに婦女子がそれである。彼女達、家庭内失
業者が大量に存在したこと、これこそが女工哀史の経済的一大要因であったと
思われる。
社会に資本家が登場して、工員を農村に求めた時、これらの失業者達は農村を
捨てて大量に都市へ流入する。必然的に需給関係は弛緩することになる。まさ
に買い手市場となる。
資本家にとって、現在手持ちの女工の待遇を改善することによって労働力を再
生産することよりも、古い女工が衰弱死すれば新規に女工を買い入れる方式の
ほうが、コスト・パフォーマンスが良かったのである。
ゆえに、彼女達の生活環境は、農村において奴隷的に働いていたときよりもさ
らに悲惨なものとなる。家庭内失業者であっても身内の一員である。少なくと
も死ねば代わりがいくらでもある、などという扱いは受けなかっただろう。
奴隷は主人の持ち物である。奴隷の死は主人の財産の減少を意味する。しかし、
資本家と労働者は独立の存在である。女工の死は資本家の財産の減少を意味し
ないのだ。
ところが、農村の潜在失業者が都会へ吸収されて残り少なくなってくると、事
情は変わってくる。工員に福祉慰労を施して労働力の再生産を計ったほうが、
「ヒト買い人」から新規に購入するより経済的になるのである。
さらに、需給関係が逼迫してくると、資本家同士の労働者獲得競争が始まる。
とくに新規参入をもくろむ資本家は、より優れた機械と経営手腕と大資本を持っ
ていることが普通であるので、より優れた労働条件を労働者に対して示すこと
ができる。
当然、いきすぎた競争が行われないように、資本家同士で談合が始まる。しか
し現に無限に安い労働力を提供してきた農村潜在失業者が存在しなくなった以
上は、もとのような状態に戻すことは不可能に近い。
また、このころの工場経営は、労働者からの過剰搾取が却って生産性を低下さ
せていたきらいがあり、オーウェンの工場のように労働者の待遇を改善したこ
とによって生産性が逆に向上する傾向もあったようである。
脱線 : 大学の図書館の隅にあったスポーツ医学関係の本に、似たような記
述があったように思う。
炭坑労働者の食事に関するもので、摂取カロリーが少なすぎて人夫
達がやせる傾向にあったのでカロリーを増やしたら、逆にもっとや
せてしまった。
栄養が増えて元気になり、今まで以上に働きすぎたのだ。
さらに摂取カロリーを増やしてようやく釣り合うようになった。も
ちろん人夫達は前回以上によく働くようになった。
かくして女工哀史の時代は終わりを告げる。-
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