「中心スタッフが語ってくれたこと」
・「暗闇」という存在について

1泊2日の冒険に参加する子ども達に用意されている、ナイトハイク。
山の中ということで、夜になると本当に真っ暗。
月明かり以外にあるのは、ぽつんぽつんと建っている民家の灯りと、必要最低限以下の数しかない街灯の灯りだけ。
舗装された道とはいえ、そこを懐中電灯も何も用意しないで歩いていくので、足元はよく見えない。
だから、子どもは結構怖がったりする。

…けれど、ふと上を見上げると、そこには満天の星空が広がっていて、天の川も見えている。
それに気づくと、歩いていく事を怖がっていた子も、感動の声を上げて星空に見とれていた。
今までは単に恐怖の対象であったはずの暗闇が、少しだけイメージの違うものに変わったらしい瞬間だった。

実は、1泊2日といっても、中心スタッフ以外は別の場所にまとまって泊まるため、ナイトハイクの後には宿泊場所まで送ってもらったのだけれど。
その道中で出会ったのが、野生の鹿2匹（親子？）と、自分の地元にいるやつとは比べ物にならないほどよく走る、野良猫。
そんな動物達と出会いつつ、宿泊場所へ送ってもらう途中に話してもらったのが、こんな内容の話しだった。

「人間は、明かりが無くては動けないようになってしまった。
防犯対策で街灯も増えていたりするので、冒険に参加している子ども達なんかは、
夜になっても明るい環境にいて、暗闇と接することができなくなってきているのかもしれない。
そうでなくても、子どもには自分達以上に多くのものが見えているから、周りが真っ暗になってきて、目に見えるものが少なくなる事がとても怖く感じられても、しょうがないかもしれない。

他の団体には、ナイトハイクに子どもを連れて行って、そこで怖い話とかをする所もある。
それも良いのかもしれないけれど、暗闇は果たして、子どもを恐れさせるためのものなのか？
それに、暗闇を子ども達にとっての恐怖の対象とする事に意味があるのかどうか。
空を見上げれば月が明るくて、星がきれいに輝いていて。
さっき見た鹿やネコだって、夜の間もああやって動き回っている。
耳を済ませると、虫の鳴き声が聞こえたり、水路や川を流れる水の音も聞こえてくる。
風が吹く音だって感じる。
そこには、目には見えないけれど、確かに存在するものがあるっていうことが伝わってくると思う。
夜は目に見える星だって、朝には見えないけれど、なくなるわけではない。
街の中は光で溢れていても、こういう田舎に来れば、夜本来の姿が見える。

夜になったから、周りは真っ暗で、月明かりが照らしているくらいしか光なんてないようなもの…
そういう所に来ると、自分達は地球に住んでいるんだってことが実感できると思う。
普段はそんなこと考えないでしょ？
いきなり話されたって、イマイチ実感できないことだし。
…でも、こういう人工物が少ない自然の中にいる時だからこそ、普段は感じられないことを伝えられるんじゃないかって思うし、
少しでもそういうことを子ども達に伝えていく事が、この団体の願っている事のひとつだと思う」



・経験について

「昔俺らが子どもだった頃なんかは、子どもにもそれなりの役割があって、ある程度の責任があった。
そういう役割が増えていく中で、だんだん子どもから大人へと進んでいく感じ。
だけど今は、子どもの役割なんてほとんど無い。
責任もなくて、子どもから突然大人になる、というような。
それでいて「自己責任」でしょ？
無責任でいられた世界から抜けると、突然自己責任がのしかかってくる。
それで動けるやつなんていないって。
（中略）

子どもというか、やれるうちにいろんな悪い事をしとくべきだと思う。
でないと、悪いことをやったり、道から逸れちゃった子の気持ちなんて分からないから、大人になったって対応できない。
例えば、カエルとかの解剖なんか…

ああいうやつって、かわいそうだからやめろと言いたくなるけどさ、
「かわいそう」という思いに至るまでの経験があるからこそ、やめろと言えるわけで…
そういう事を全くやったことがない子には、かわいそうなんて思えない。
そりゃぁこれでは、ナイフで刺しちゃったりする奴が出てきてもおかしくないと思う。

かわいそうだとか痛いとか、そういう事を学ぶには必ず犠牲が必要になる。
肉や魚を食べることだって同じ事。
悪意とかそういうのより、無邪気さや好奇心を持ってカエルの解剖とかができるうちに、
いろんなことをやっておくべきなんだと思う。
かわいそうだとか、そういうのを教えるのはそれからでないと…


これを聞くと、1泊2日中の夜やっていた「たたかいごっこ」なんかは良い例なのかも。
友達同士とか、ましてや小さい子相手だったらこんなことを思いっきりやることはできない。
たぶん、父親相手とかでも、遠慮が入ってしまうだろうし…
自分、久々に良い役周りができた？？（笑

遠慮なく、思いっきりぶつかって行っても受け止めてくれる存在って大切なんだろうなぁ。

「冒険6，7日目　後半？」
川遊びの雰囲気は、どことも変わらぬ楽しい雰囲気。
一番違ったのは、自身初の1泊2日なだけに、やっぱり夜の事。
場所とかの関係で、自分が寝ていたのは子ども達とは別の建物だったけれど、それでも、就寝時間が過ぎるまではずっと子どもと一緒。

…実は、2日間の中で、ここでの記憶が一番強い。

日中の川遊びが、あらかじめ立てられた予定に従っているものなのに対し、夜は夕食と就寝以外は、全てフリー。
風呂の時間も交代交代だから、時間はバラバラ。
なので、自由時間がものすごく長いし、元気もまだまだ十分残っている。
でも、トランプとか、そういう遊び道具は無い。
それじゃぁ子どもは退屈なのかと言うと…
たぶん、川遊びより何より、この時間が一番楽しかったのだと思う。

見ていた限り、就寝までの自由時間に見せていた笑顔は、川遊びの時には無かった。
もちろん川遊びだって楽しかったはずだけど、それでも不思議と、遊び道具も何もないこの時間に、2日間で一番の生き生きとした顔を見せていた子ども達。
この顔に出会えたのは、自由に動き回れるのが自分だけだったおかげだろうなぁと思う。

…というのも、一緒に来ていたコーチや、中心となっているベテランスタッフは、もう完全に疲れている。
川での安全管理や、全体への注意を払うなど、ただのバイトの自分とは比べものにならない精神的な疲れもあるので…
それでも、子どもとの遊びには付き合っていたけれど、体力的に、付き合えるのは本当に短い時間。
（夏休みと同時に冒険も始まっていて、今週が最終週なので、ほぼ連日シフトに入っているベテランスタッフさんは、みんな疲れがピークを突破している…）
他に同じシフトに入っていたスタッフも、シフト的に、施設にはこれないシフトなので、もういない。
…なので、ホールとかで子ども同士遊んでいる子以外は、みんな自分の方へやってくる。

そして自分は男なので、やってくるのは基本男の子。
そこにあるのは、「走り回れるほどの広い部屋」と、自分達だけ。
となれば自然と始まってしまうのが、戦いごっこ（笑

いろんな方向から突っ込んでくるわ、おんぶしてくれと背中に乗ってくるやつがおるわ、
お決まりの「チーン」とか言ってやってくる、股間を狙った攻撃があるわと、とにかく騒ぐ騒ぐ。
本当に、川にいる時よりよほど元気（爆
やってる自分も楽しいのでずーっと遊んでいると、そのうちに女の子も飛びついてくる。
股間攻撃をしているやつは、ずーっとそれを続けている（おバカ　笑
正直な所、一斉に攻めて来るからガードのしようが無いし、クリーンヒットする攻撃もあるので結構痛かったりするけれど、遊んでいて本当にかわいい。

…で、この経験を単に楽しいだけで終わらせてくれなかった子ども達。
タックルしたり叩いたりすれば、自分の体にも同じだけの力が跳ね返ってくるから、当たり所は違えど、当然自分へのダメージもあるのだけれど。
どうも、この子達はそれを知らないらしい。

自分を叩いてきて、「いてぇ〜…」と痛さを感じている子が何人かいた。
小学2年まで散々人を叩きまくっていた自分的には、そんなのは当たり前のことなんだけど…
聞くとこの子達、人を殴ったことはほとんどないとの事。
「喧嘩とかしないの？」と聞くと、「うん」と答えられる
（兄弟喧嘩くらいあるはずなのに…？
で、「じゃぁ、こういう戦いごっことかはほとんどした事がないんだ？」と言うような事を聞くと、やっぱり「うん」と返ってくるし、ちょっと悲しかったのは…

「だから思いっきり動いて、普段のストレスを発散」

というような事を言った子もいたこと。
言ってたのは確か、3年くらいの子。
3年生からこの言葉………どうなんだろ？
なんだか、かわいそうだった。

これについての思いは後にして…
とりあえず、人を叩いたりぶつかったりすると、
相手が受けた衝撃と同じだけの力が返って来るということを伝えてみた。
分かってもらえたのかどうかは良く分からなかったけれど、思わずカッとなって叩いちゃったりした時に、こういうことを教えてもらえないのかなぁ、なんて思ったり。

…まぁ、そんなマジメな空気にしたってどうしようもないから
（いや、元々そんな空気でもなかった？？
またすぐに遊び初めて、結局ずーっとやってたけれど。
とにかく生き生きしていた。

道具なんか無くたって、一緒に自由に走りまわれる友達がいれば、子どもにとってはそれが一番楽しいのかなぁ…？
そんなことも思った。

2日間の天気：曇りのち晴れ

…思っている事を文にするのがものすごく遅いことを公開てしまった書き込み3つでした。
（[101]からずーっと打ち続けて、気づいたら3時を回っていた　苦笑
続きは明日にしてさっさと寝ないと）

あ、こんなところですが、遅くなりましたが…

まっつんさん、ハッピーバースデー！
おめでとうございます！！
次の年齢も幸せに迎えられますように…