私の知人に趣味が、鉄道模型のコレクターがおりまして、その方から聞いた実話です。

私の知人（以下Ａさんとします）は、鉄道模型に非常に熱狂的で相当なレベルのマニアでありましたが、やはり世の中上には上がありまして、彼の知人（以下Ｂさん）は、もっと凄い知る人ぞ知る有名なコレクターでありました。
Ｂさんは実は重い病を患い、ある日ついに亡くなってしまいました。それで、Ｂさんのお葬式には、同じような鉄道マニアが、｢生前にお世話になったので｣と、相当な人数集まったそうです。もちろん、Ａさんもかけつけました。
Ｂさんのコレクションは、あまりにも多く、その息子さんが引継ぐことになっていたそうなのですが、当人全く興味なし。むしろ父親の熱狂さに、うんざりしていたそうでした。Ｂさんの奥様も同様でした。なんせコレクションのレベルがレベルなので、｢離婚｣を考えたほどだったそうです。だから家の中を整理すると出てくる！出てくる！どんどん出てくる！奥様の知らないところからもわんさかと！
お葬式の当日、Ｂさんの奥様は言いました。
｢主人の大切な宝ものです。どうかみなさん受け取ってください！｣
涙ながらに訴えるような感じでしたが、配り始めると・・・息子さんと、まんべんな笑顔で次から次へとたくさんの模型と関連グッズが・・・・。中には知る人ぞ知る高額なものも関係なし。
お葬式に参列した鉄道マニアさん達にとって、｢これは大変なことになった｣わけで。本来は騒然としそうなところでしたが、なんせお葬式なのでそんなわけにいきません。選ぶわけにもいかないので皆ワクワクしながら祈るような気持ちで、かと言って笑顔にならないように神妙な顔つきで、順番にならび・・・・。
お葬式が終わった後、一部のマニアさん達は、こっそり場所を変えて、大交換会となりました。もちろん｢これはああだ、こうだ｣と大ウンチク談議に。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
居酒屋でこの話を聞いた私は、家路に着くと、ほろ酔いながら押入れをのぞいて。
｢このベイは、どうなってしまうのだろう・・・・まあいいや、上には上がいるから・・｣