「０８年０１月２５日Friday」
４コマ目が終わった直後、Ａ教頭が妙にテンパりながら校内放送を入れる。「先生方に連絡します。お話したいことができましたので、職員室にお集まりください」聞いていたＡ先生「なんか変じゃなかった？」Ｔ君「勢いだけで放送しちゃったとか」
Ａ先生が出ていった直後、今度はＪ先生が放送「〜♪全校生徒に連絡をします。この後、各担任の先生方からお話があります。昼食は教室で取り、そのまま待機するように」なんだなんだ？そんなに大ごとなのか？みんなざわめきつつ、飯はちゃっかり食う。するとＯ君が、どこからか情報を仕入れてきた。「盗難だってさ〜」直後担任がやってきて、話の概要を聞かされる。２年生のある教室から、財布の中身だけを抜き取られる事件があったらしい。被害者は複数人居るそうだ、金額もそれなりに達しているとか。物騒な事件が起きてしまった…。担任からの指導のみならず、結局全校集会も開かれることに。３年生からすれば、もうやってられない状況だが、それはしょうがない。
体育館にて。校長と指導部Ｊ先生の話は、まぁ決まったようなものである。当事者が居れば、すぐにでも名乗り出ろ。学校で、このような事態が起こってはならない。本当におかしな話だ、なぜこういう事態になる？全校生徒が不愉快な思いをしなければならない。犯人は、どう考えてもふざけている。
続いて、被害にあったクラスの担任の先生が出てきた。彼は言う。「このようなことが起こっていいのか？このような事態を許していいのか？それはおかしいだろ？こういうことを言うのも難なんですが…教師生活十数年、言葉は悪いですが、レベルの低い学校も経験してきました。しかし、こんなことが起きたのは、始めてだ。当事者が居れば、名乗り出てください。ここにあるのは、被害届です。書いてもらいました。こういうことのないようにしたい。そのような行為をさせないようにしないといけない。それが仮に友達であっても、知ってる人であっても。その人のために。これは『チクる』とかいう限度の話ではない」説得力のある話だった。痛切に伝わってきた。怖いとか、そういうことを言っている場合ではないのだ。本来安全である学校生活が、こうして脅かされている。おもしろくない。
集会も終わりに近づいたころ。「諸連絡、先生方、何か？あ、Ｙ先生」ここで黙っていなかったのがＹ先生。壇に上がり、話を始める。「今のままでは、当事者と被害者だけで話が終わってしまいそうなので、傍観者の私たちの立場で話します。我々だって、加害者になるかもしれないし、被害者になるかもしれない。本来、学びに来ているのに、なぜ盗みを働く？それっておかしいでしょ？悪いことだって、わかるでしょ！当たり前だ。私が教えてるのは物理だけど、物理は、明らかになっている現象を使って、物事を解き明かす学問。こういう事件が多発しているのに、それがなくならないのがおかしい。ちょっとしたことでしょ？例えば、学校の電気使って携帯を充電してるとか。それも盗みですよ？一般常識で物事を考えなさい」理系ならではの論の進め方で、生徒全員に訴えたＹ先生、もっともである。Ｙさん「Ｙ先生の話は…まぁそうだね」Ｋさん「○○(私)には、よく伝わったでしょ？」すんげぇ伝わった。考えがほとんど合致していた。
いずれにせよ、非常に不愉快な事件である。勘弁してくれ。

放課後。図書室からの帰り道、見てしまった。いつも通り、図書室を出て、２年教室の前を抜け、３年教室棟に向かう。その事件現場となった教室で、鑑識が指紋を採取していた…見てしまった。胸が締め付けられる思いがした。これが現実である、もうただごとではない。「犯人の退学は免れないな」そういう話が、まことしやかにささやかれ始めた。事件の行く末は、どうなるものか…。