サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。
-
from: yeshangさん
2014年12月27日 21時28分00秒
icon
「石光真清手記 一,二 城下の人、曠野の花」 中公文庫
明治元年生まれの石光は西南の役を経験し、軍人となり、日清戦争の後、ロシアの南下政策に対してロシア研究を行うことになります。
ロシア語の勉強で、ロシアに私費留学、軍に呼ばれて満州の状況の探査に、いわゆるスパイ行為ですが、数奇な運命をたどりながらロシアとも清国とも馬族とも関わりを持ちながら、清国・ロシア国境、満州を転々とする本人の手記です。
本当に死地を繰り返しながらの話は、男のロマンを引き起こします。
全四巻のところ、二巻を読んでいる途中ですが、他人事であるので、痛快なお話です。
これから世界に飛び立とうとする若者には是非読んでもらいたい本です。
とくに、政情不安な、日本人には考えられない病気が蔓延するアフリカや東南アジア・南米に行く人には心構えとして、いい本です。
私も、1986年当時、中国へ技術協力で行くときは、ちょっとした気合いをもって臨みました。
中国の歴史を一通り読んで、当時は少なかった中国関連の本を読み漁りました。
まだまだ、政情がよくわからず、肝炎や寄生虫の話も聞いていましたので。
やる気があれば、飛び込んでみて、臨機応変に対処すればいいのですが、この本にもあるように日本人としての心を忘れないようにするのが大切と思います。
満州、ロシアで活躍できたのは、ロシア語を学び、中国語にも精通していたからでしょう。
語学は、身を守るためにも必要と痛感しました。 -
from: yeshangさん
2014年12月17日 22時56分06秒
icon
「丹生都比売 におつひめ」 梨木香歩著 (新潮社)
8篇の短篇と、主題の「丹生都比売」の中編からなります。8篇の短篇は暇つぶしの感ですが、「丹生都比売」は面白く読みました。
梨木香歩の何とも言えないばかばかしい幻想的な話ですが、主題の「丹生都比売」は、子供のおとぎ話として寝床で聞かせてもいいのでは思いました。
「丹生都比売」は、天武天皇(大海人皇子)の子の草壁皇子が主人公になって、天智天皇に次ぐ政権争いの話ですが、天武天皇と草壁皇子に吉野の神の丹生都比売の加護は必須でした。
梨木さんの幻想的な話に引き込まれました。
他の短篇もよく考えて読まないと解らなくなるのですが、暇つぶしには面白い作品と思います。
-------------------------------
ちなみに、丹生都比売は私の地方では「にゅうつひめ」と読んでいます。高野山に関係する神で、丹生都比売神社があって子供のころから親しんでいます。
神域に弘法大師の母を祭る慈尊院があって、共に街の守護になっています。
慈尊院は安産とその後の子供のため、親の乳の出が良いようにとの願いで、布で作った乳房の奉納が今でも続いています。 -
from: yeshangさん
2014年12月15日 22時24分33秒
icon
「鉄のあけぼの」上・下 黒木亮著 (日経文芸文庫)
川崎製鉄を作った西山弥太郎の伝記小説といったものです。
川崎という名から神奈川県の川崎市を思い浮かべますが、発祥は神戸市です。
戦前から川崎重工として、造船と鉄の製品を作っていましたが、鉄の一貫製造の構想を持ち、溶鉱炉から圧延、最終品までをの製鉄所を千葉に建設します。
更には岡山の水島にも広大な製鉄所の建設に取り組む話です。
スケールの大きさに驚きます。そして、人を動かすことに。
事業は人が、人材といわれますが、思い知らされる内容です。
戦後は松下幸之助や井深大、本田宗一郎などの大経営者が出ましたが、西山弥太郎は日本の経済と工業では偉大な存在であることが解ります。
日本の製鉄業は1985年には1億トンの粗鋼生産量でした。最近もその程度で推移しています。
当時の中国は3500万トン程度。日本の10倍の人口と26倍の国土のある国で中国の国力の程度を感じていましたが、日本の技術協力で世界の鉄鋼業界を左右するような巨大化に至っています。
しかし、同じ鉄でも製品の品質、機能、特性は大変な研究開発と作業員の技能にかかっています。今は中国の鉄も良くなったと思いますが、昔はネジ1本にしても素人でもその材料の悪さ、加工の悪さを感じました。
若い人、技術やプロジェクトに取り組む人にはぜひ読んで欲しい本です。 -
from: yeshangさん
2014年12月06日 21時20分47秒
icon
「霖雨」 葉室麟著 (文春文庫)
読んだような気がしていて、、読書メモを見ましたが、見当たらず買ってきました。
しかし、文庫本ではなくハードカバーの読書メモで以前に読んでいたことが解りました。
その時のメモでは、
「江戸後期の豊後(大分県)の儒学者で私塾咸宜園を開く広瀬淡窓とその弟で家業を継いだ地方の豪商久兵衛の物語。
天領の郡代は西国で名の上がった咸宜園を配下に置き、久兵衛を動かし公共事業を手掛けることで自分の功績を上げようと淡窓と久兵衛には無理難題を果たしますが、二人はそれに自分達の使命を深く認識しつつ苦労する。
天保の大飢饉、大塩平八郎の乱のある時期でもあり、儒学者淡窓と地域の開発を請けた久兵衛にはつらい時期が続きますが、それぞれの道を志を持って切り開いていく姿には感動する。若い人や第一線で活躍する人には是非読んで欲しい本。」
となっていました。
妹や弟に気に入った本を毎年、年末頃に送っています。
しかし、あまり読んでもらってなさそうですが、それでも年に1,2冊送っている次第です。
この本は、もう一冊買って、妹・弟に贈ってもいいかと思っています。