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from: 窓の雪さん
2009年07月15日 01時16分54秒
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石田衣良「美丘」
型にはまらない個性的な同級生美丘(みおか)。
彼女と結ばれた主人公太一は美丘の逃れられない運命を知る。
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一日で読みきった。
短い本だったけれど、圧倒的な読後感だった。
胸に熱い塊が残った。
短くも激しく燃えた恋のひととき。幸せな時間だった。
そして秋の夕日のように急激に失われていく美丘の身体機能。美丘は次第に記憶を失い、単語を忘れ、歩行機能を失い、字を架けなくなっていく。いずれ彼女の身体が呼吸すらできなくなる日がくる。
ここまで話すと、あるいはトーリー的に類似したいくつかの小説を思い浮かべる人もいるかもしれない。
この物語は死をいたむ物語ではない。死と戦い、恐怖と戦い、遺された時間を必死に生きる姿を描いているのだ。
この姿が深い共感を生む。僕は美丘に用意された理不尽な運命に怒り、自分だったらどうするのか?と問いかけ、美丘の強さ、健気さに打たれた。
そして人生の残り年数を数え始める世代、その年数をいかに生きるべきか?と悩み始めた世代に共通する思いがゆすぶられた。
この本を読んで、自分は泣かなかった。奇しくも解説を書いた小手鞠るい氏は言っている。「本当に素晴らしい物語は、私たちを泣かせない」のだと。
この言葉が必ずしも真実ではないとは思うが、少なくとも涙の無い感動というものがあることは十分に感じられた。
我々が心の底から「幸せだ」と感じる瞬間が一生のうちどれだけあるのか?と考えると、美丘の生涯は多くの幸福に恵まれたのかもしれない。-
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