表題作以下８編の短編集。

「スターダスト・レヴュー」元プロのチェリストが指揮者との諍いからプロの世界を離れ、バーのピアノ弾きとして生きている。彼は職業も恋人も失っているが、旧友によって救いの手が差し伸べられる。一方、現在の勤め先では店を任せたいという話が。選択は彼の中にあった。

「うたかた」団地で孤独死した老女。彼女の幸福な人生を描く。

「金の鎖」偽りの恋の思い出に生きる女性デザイナー。彼女が自分の本当の恋心に封印をした理由は。。。

「見知らぬ妻へ」歌舞伎町で客引きとして生きる花田章は、偽装結婚した中国人女性に心惹かれていく。

自分の心を偽って生きる者、
社会の底辺に生きる者、
心の一部を過去に囚われて生きる者、
彼らの固まった心の内側にある柔らかい部分が表に出てくる瞬間を描いた作品集。
それを味わえる感性がある方にお奨めします。