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from: ハマジンさん
2010年06月29日 17時16分02秒
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光媒の花 道尾秀介
6章からなる連作集。
認知症の母を介護しながら印章店を営む男性。彼の父は30年前に自ら命を絶った。当時、別荘に行く度に出会う年上の女性に彼は惹かれていたが、彼女は父と逢瀬を重ねていた。思春期の少年の心に芽生えたものが全ての人の人生を狂わせ、そして今、老母が無邪気に描く絵には母の心の奥底にある悲しみが…。(「隠れ鬼」)
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この作家は初めて。今やっているキムタクのドラマ「月の恋人」もこの人の作品なんですね。
以前ここで「美しい文章」について話題になったことがありましたが(宮本輝の「道頓堀川」「泥の河」など)これも大変美しい文章で書かれたステキな本でした。
6つの物語に必ず蝶がひらりと飛んできます。その蝶がとても印象的で象徴的で何かを暗示しているようで、きらきらと光る翅が眼に浮かぶよう。
花には虫を媒介して花粉を集める「虫媒花」と風を媒介する「風媒花」があるんだって。
この物語は、不思議な蝶が放つきらめく美しい「光」が、絶望のフチにいる人々の心に希望を運ぶような、そんな透明なイメージでした。
しっとりと心に染みわたるいい話ですが、重松清氏のようなお涙頂戴風ではないので読後感もいい感じでした。-
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