高校生の由紀夫には母が1人と父親が何と４人いる！
全く個性の違う４人の父親たちに共通していることは、母と由紀夫を心から愛していることである。
ある日由紀夫は県知事選挙を巡る事件に巻き込まれ、同級生と共に監禁されてしまう。由紀夫を救うために４人の父親達が起こした行動とは…。
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「重力ピエロ」で思いっきりコケてから(わたしが)、数年ぶりの伊坂作品。何の気なしに予約してから３ヶ月が過ぎようやくゲット。
これが予想外に面白かった！

一夫多妻の逆バージョンの家族だが、母は仕事でほとんど不在。留守を４人の父達と高校生の由紀夫が守る感じの日常です。
父達のキャラがユニークすぎる。それぞれが様々な場面で多感な高校生の由紀夫に絡んでくるが、由紀夫は迷惑な顔をしながらもうまく４人を操って自分も楽しんでいる感じ。小気味よいテンポが楽しいです。

県知事選立候補者の対立に絡む事件に巻き込まれてしまう由紀夫。ミステリーの要素で読者を引き込む。彼の同級生達もいい味を出していて楽しい。同級生の家族と共に監禁された由紀夫の救出劇が展開されるラストはいい感じです。

本当の父親が誰なのかは誰も知らない！というところもかなり非現実的だし、1歩間違えばハチャメチャぶりだけが残る駄小説になってしまうところだけど、なかなか巧く書けていたと思う。
小説だからあり得る楽しい世界でした。