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from: yeshangさん
2016年12月18日 21時05分35秒
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「霧(ウラル)」 桜木柴野著 (小学館)
根室で水産会社を経営する川野辺には千鶴、珠生、早苗の三姉妹がいて、次女の珠生は親の反対を押し切り家を出て料理店「喜楽楼」の芸者をします。
三浦水産社長の秘書兼運転手として喜楽楼によく来ていた相羽重之に珠生は心惹かれるところがあり、相羽が身代わりで博打の罪で半年服役した後、珠生は相羽と一緒に生活することになります。相羽は大きな事務所兼自宅を建て、土建業をし裏ではソ連との取引で密猟の手配もしています。
一方、千鶴は根室で手広く運輸業等を営む社長の息子、大旗善次と結婚、早苗も信金の杉原理事長の次男との婚約が出来ています。
土建業をしながら裏でソ連との取引で北方領土周辺に船を手配する相羽、川野辺と相羽の水産物を扱う大旗、金融でそれらを支える杉原の信金が地域の産業の中核となって、大旗善治は国会議員に乗り出すことに。
川野辺の3姉妹はそれぞれの家業を通じて複雑に絡み合うこととなります。
3姉妹は結構な身分にありながらもどこかに危うさを感じさせながら話は展開していきます。
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谷崎潤一郎の「細雪」を思い出させるような3姉妹ですが、地方も置かれた立場も異なります。話の展開、結末はどうなるか予測できず、もの語りは進んでいき、結末に至っても3姉妹はどう生きていくか気になる作品です。
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