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from: yeshangさん
2018年01月18日 18時20分50秒
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「墨龍賦」 葉室 麟著 (PHP研究所)
小谷忠左衛門は京都に住む絵師で「絵屋」と称し、細々と暮らしを立てていました。
35歳の寛永九年(1632)、京都所司代に呼び出され、春日局のお召しでただちに江戸に下るように命じられます。
春日局から海北友松の息子かと訊ねられ、昔、友松にはたいそうお世話になったので恩返しがしたいと。そして、江戸で屋敷を与えるので、江戸で絵師にと。
忠左衛門は父からは父友松のことは何も聞いていなかったので、春日局から父のことを詳しく聞くことになります。
海北友松は安土桃山時代から江戸初期にかけての絵師で、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の時代を絵師として生きてきました。
その友松の絵師になるまでとなってからのお話が本書の内容になっています。
忠左衛門は春日局の話を聞き終わり、江戸に屋敷を与えられてからはさらに絵に精進し、海北友雪と号し、友松の画風を受け継ぐこととなります。
友松の生涯では、明智光秀、安国寺恵瓊、石田三成、狩野源四郎永徳、斎藤内蔵助、宮本武蔵が現れ、信長の時代から家康の時代までの歴史を友松の生活とともに走馬燈を見るように移り変わり、友松の目から見た、春日局の気持ちも加わっているとも思いますが、この時代の様子もうかがえ、さすが葉室麟氏の作品と思った次第です。
Webで海北友松(かいほうゆうしょう)を調べてその絵画を鑑賞することをお勧めします。
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