「蛍川・泥の河」宮本輝 新潮文庫
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大阪の川べりに住む食堂の息子・信雄と、係留された船で暮らす母子家庭の交流を描いた作品。(泥の河)
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とにかく情景描写が上手い。このような時代を知っているのは私たちが最後だと思われますが、懐かしい以上の説得力があります。
「蛍川」が美しさなら、「泥の河」はどうしようもない切なさでしょうね。
短編だから、２作品合わせてもあっという間に読めてしまいます。ぜひとも。
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「透明人間の告白」Ｈ・Ｆ・セイント　新潮社

すばるさんの書き込みにひかれてミステリ以外を読んでしまいました。

平凡な証券マンがひょんなことからとある研究所の事故に巻き込まれてしまい、「透明人間」になってしまった。政府の秘密機関から追われるはめに〜

「透明人間」のリアルなディテールの描き込みやサスペンスフルなストーリー展開は面白かったです。少し冗漫なところもあって我慢して読みました。年間ベストというのはまだ許せますが、「本の雑誌」３０年間のベスト３０の１位になった小説とはとても思えませんでした。長すぎる！ハードカバーは絶版みたいですが、新潮社文庫になっているのはどうなのかな？

「道頓堀川」宮本輝 新潮文庫
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戦後の混乱期を生き、ビリヤードで一財産を築き上げ、今は道頓堀で喫茶店を営む武内。
ビリヤードで生計をたてたいとする息子の政夫と反目する。
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えらい時間がかかってしまいましたが宮本輝の川物語三部作読了です。
れおさんが避けてたんで、際どい描写でもあるのかと期待しましたが(笑)いい物語でした。
「泥の河」が人情、「蛍川」が純情、本作は愛情がテーマでしょうか。
ビリヤード球がくっついたり弾かれたりといった台上の様が全てを物語っています。
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今年も残り30分。皆さん良いお年を〜
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連続する児童誘拐殺人。小六の息子の部屋から、この事件に関係した証拠品を発見してしまった父親は、他人事と思っていたこの事件に我が子が関わっているのではないかとの妄想を抱き始めるが…。

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やはり息子が犯人で手口などが明らかになり、これからどうなるんだこの家族は…と思っていると実は親父の想像(妄想)なんですわこれが。

結局のところ題名のとおり、もし息子に問い質して「僕が犯人だよ」といわれればこの世の終わりだし、犯人かもしれないという絶望の中にも希望を持って進んでいけば、これから新たに人生が始まるし…みたいな、どっちつかずのお話でした。

技法的には斬新なのかもしれません。面白くないことはないのですが、私は白黒はっきり！と言いますか、基本的に犯人がきっぱりと判明するお話が好きなので、この忙しい年末に時間をロスした気分でした。

この人の「葉桜の季節に君を想うということ」も以前読んでいるのですが、見事に何ひとつ内容を思い出せません。相性が悪いのだわね。

食堂かたつむり・・小川糸　春先くらいに王様のブランチで取り上げられた本でやっと、私の手元に来ました。たぶん次はすばるさんかな！ある日アルバイトを終えて、婚約者と一緒に住んでいた部屋に帰ると、家財道具一式と彼が消えていた。といっても、ミステリーじゃないので殺しはないよ。残されたものは「ぬか床」傷心の倫子（りんこ）はいつの間にか故郷へ帰るバスに乗った。あまりの衝撃で「声」を出せなくなってしまった。そこで料理が大好きで店をもつのが夢だった彼女が「食堂かたつむり」と言う名の店を開く・・。これ文章の表現が豊かで綺麗で思わず引き込まれていきます。彼女を取り巻く脇役も素敵です。心の病んでいる人、世の中に失望している人、最後には温かい涙が頬を濡らすことでしょう。　　これから「おせち」を少し作ります。もう十数年、作ってないので上手くできるかどうか心配です。それでは皆さんよいお年を！

樫村です。よろしくお願いします。
早速、最近読んだ中から、よかった作品の紹介をします。
電子書籍ですが、光文社の「１０１号室の謎を追え」
著者：星さいか
パソコンまたは携帯で読めます。
良いという書き込みがあったので、試したところ、確かに面白いです。ミステリーとアドベンチャーがうまく絡み合っています。
いつになく、心に残る作品に会ったので、記させていただきました。
ぜひ、読んでみてください。
ただいまは、同著者の「海底神殿」を読んでいます。これもなかなか意表をついています。

宮本輝は「螢川」！ラストは美しいよ〜
多分、私が読んだ小説の中でも「美しさ」の表現ではピカイチだったよ。
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女王蘭・・新堂冬樹　３年位前に出た「黒い太陽」の続編です。風俗王、藤堂に敵対する立花篤、新宿フェニックスを日本一のキャバクラにした立花と、藤堂が原因で父親が自殺し復讐を誓い、立花の店で働く優姫が、藤堂潰しを企てるという話です。個人的に新堂作品はいい時とひどい時があるけれど、いつも読みたい作家です。今回は続編ということで、前からの絡みもあり面白く読めましたよ。新堂さんの好きな方は（いないかも？）読んでみて下さい。

小説「すばる」（←おおっ！）に掲載された短編小説から選りすぐりの１６作品を１冊に。
赤川次郎・綾辻行人・北方謙三・篠田節子・東野圭吾・宮部みゆき・群ようこ・山本文緒　等など…
そうそうたるメンバーです。
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昔から短編のうまい作家はホンモノ、みたいに言われているのを頑なに信じていたところがありますわ。
そういう意味では松本清張ほど面白い短編を書く作家はいないと思っていますが…。

１６作品の中では高橋克彦の「梅試合」という話がとてもよかったです。
梅試合とは、東京亀戸の天神さま（我が家は受験時には必ずお参りします。先日も娘の大学受験合格祈願に行きました）の隣にある梅屋敷の梅の木に箱を設け、その梅を詠んだ句や川柳を投じて競いあう催し。そこで何やら不穏な動きが…。
なかなか粋な落ちで、うーん上手い！って感じでした。

あかね空　山本一力　文芸春秋　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　宝暦12年8月残暑、深川蛤町の裏店（うらだな）に京から下（くだ）ってきた永吉という大柄な男が尋ねてきた。豆腐職人であった。　　　　　　　　　　　　…なかなか面白かったです。長編なので途中詰まったりもしたけれど、ﾗｽﾄは一気に引き込まれていました。永吉の女房、おふみに自分を重ねて読んでましたね。　中学の私がこれを読んだとしたら、娘のおきみに自分を重ねているでしょうね。　なんの商売でもそれぞれに大変なのだけど、豆腐屋さんの苦労が少し理解できたお話でした。